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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

『ミステリマガジン』644号

 今月号の『ミステリマガジン』644号はジェフリー・ディーヴァー特集。短編四作をはじめとしてエッセイや詩、登場人物事典まで盛り込んで、なかなかの力作である。
 中でも注目したいのは「読書の死」と題した”詩”である。かつてディーヴァー自身のホームページに掲載されたものらしいが、これが何ともミステリ作家らしい詩で、なかなか刺激的かつ興味深い内容だ。ミステリファンや読書人なら、話のタネに一度は読んでおいていい。

 ところで『ミステリマガジン』の作家特集(背表紙にキャッチが入るレベル)は、久々のことではないだろうか。あ、追悼特集や生誕●周年、自社出版物とのタイアップ特集なんてのは除いての話。あくまでビジネスとして雑誌を成り立たせなければならない以上、何のしがらみもないところで編集側がある作家をプッシュするというのは、本来ならなかなか難しいところなのである。
 一応、早川でも『静寂の叫び』や『監禁』といった傑作を出しているし、ディーヴァー人気で雑誌が売れるという線も考えられる。だが、正直そこまでの効果があるとは思えないし、おそらく関係者でなければうかがいしれない事情があるのだろう。最新刊の版権がとれたとか、そういう伏線もありそう。
 ま、素直に特集を楽しめばいいんだけど、商売柄もあって、どうもその辺が気になってしょうがない(苦笑)。困ったものである。

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Comments
 
少佐さん

ディーヴァーは本当にいい作家になりましたよね。短編も長編も両方いけるのが素晴らしい。
キャサリン・ダンスも魅力的なキャラなので、また続編が書かれるのでしょうね。
 
おおー!ディーヴァー特集!! 早速買いました。情報ありがとうございます。ちょうど『スリーピング・ドール』を読んだばっかりでタイムリーでした(笑)。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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