- Date: Tue 13 10 2009
- Category: 海外作家 ウェストレイク(D・E)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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ドナルド・E・ウェストレイク『泥棒が1ダース』(ハヤカワ文庫)
ドナルド・E・ウェストレイクの『泥棒が1ダース』を読む。ハヤカワ文庫でスタートした「現代短篇の名手たち」の三発目。ルヘイン、ランキンときて、ウェストレイクなので、このシリーズの質はもう完全に保証されたといってよい(ただ、文庫落ちがいくつかあるのは残念)。

本書はウェストレイクの短編集というだけではなく、泥棒ドートマンダーものの短編集でもある。ドートマンダーと言えば、ローレンス・ブロックのバーニイ・ローデンバー、ホックの怪盗ニックと並ぶ現代の三大泥棒の一人(って勝手に決めてます)。しかも長篇では数々の作品が刊行されているドートマンダーものだが、意外に短編集はこれが初めて。個人的にはこれを読まずして何を読みますかというぐらい必読の一冊なのである。
収録作は以下のとおり。
Dortmunder and Me, in Short「ドートマンダーとわたし」(序文)
Ask a Silly Question「愚かな質問には」
Horse Laugh「馬鹿笑い」
Too Many Crooks「悪党どもが多すぎる」
A Midsummer Daydream「真夏の日の夢」
The Dortmunder Workout, or Criminal Exercise「ドートマンダーのワークアウト」
Party Animal「パーティー族」
Give Till It Hurts「泥棒はカモである」
Jumble Sale「雑貨特売市」
Now What?「今度は何だ?」
Art and Craft「芸術的な窃盗」
Fugue for Felons「悪党どものフーガ」
こうしてドートマンダー物の短編をまとめて読むと、ある程度、型というか面白さの秘密のようなものが見えてくる。このシリーズはもちろんドートマンダーの泥棒稼業について語られるわけだが、実は大抵の場合、その盗みに絡んで別の事件が発生し、それをドートマンダーが解決するという流れになっている。そしてラストではドートマンダーが本来の自分の仕事も忘れず、ちゃっかり報酬を頂くというオチで締める。つまり二本の縦軸を巧くミックスさせているのである。
ウェストレイクは語り口も巧いしドタバタも上手だから、ついそちらにばかり目がいくが、そういう面白さも、上で述べたようなしっかりしたプロットや構成があるからこそ。近年訳されてきたドートマンダー物の長篇はボリューム過多の傾向があるが、こういう短い形でビシッと読ませる方が全然よい。
とにかく期待に違わぬ一冊である。
なお、「ドートマンダーのワークアウト」のみ特別な事件が起こらない、ドートマンダーの日常の一コマを垣間見せる掌編となっているのだが、実はこの内容がいまひとつ理解できない。アメリカ人と日本人の感覚の差なのか、こっちが鈍いだけなのか。読まれた方、どなたか、この作品の意味をご教授下され。

本書はウェストレイクの短編集というだけではなく、泥棒ドートマンダーものの短編集でもある。ドートマンダーと言えば、ローレンス・ブロックのバーニイ・ローデンバー、ホックの怪盗ニックと並ぶ現代の三大泥棒の一人(って勝手に決めてます)。しかも長篇では数々の作品が刊行されているドートマンダーものだが、意外に短編集はこれが初めて。個人的にはこれを読まずして何を読みますかというぐらい必読の一冊なのである。
収録作は以下のとおり。
Dortmunder and Me, in Short「ドートマンダーとわたし」(序文)
Ask a Silly Question「愚かな質問には」
Horse Laugh「馬鹿笑い」
Too Many Crooks「悪党どもが多すぎる」
A Midsummer Daydream「真夏の日の夢」
The Dortmunder Workout, or Criminal Exercise「ドートマンダーのワークアウト」
Party Animal「パーティー族」
Give Till It Hurts「泥棒はカモである」
Jumble Sale「雑貨特売市」
Now What?「今度は何だ?」
Art and Craft「芸術的な窃盗」
Fugue for Felons「悪党どものフーガ」
こうしてドートマンダー物の短編をまとめて読むと、ある程度、型というか面白さの秘密のようなものが見えてくる。このシリーズはもちろんドートマンダーの泥棒稼業について語られるわけだが、実は大抵の場合、その盗みに絡んで別の事件が発生し、それをドートマンダーが解決するという流れになっている。そしてラストではドートマンダーが本来の自分の仕事も忘れず、ちゃっかり報酬を頂くというオチで締める。つまり二本の縦軸を巧くミックスさせているのである。
ウェストレイクは語り口も巧いしドタバタも上手だから、ついそちらにばかり目がいくが、そういう面白さも、上で述べたようなしっかりしたプロットや構成があるからこそ。近年訳されてきたドートマンダー物の長篇はボリューム過多の傾向があるが、こういう短い形でビシッと読ませる方が全然よい。
とにかく期待に違わぬ一冊である。
なお、「ドートマンダーのワークアウト」のみ特別な事件が起こらない、ドートマンダーの日常の一コマを垣間見せる掌編となっているのだが、実はこの内容がいまひとつ理解できない。アメリカ人と日本人の感覚の差なのか、こっちが鈍いだけなのか。読まれた方、どなたか、この作品の意味をご教授下され。
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はじめまして。
「~ワークアウト」は、やっぱりそういうことでいいんですかねえ(^_^;)、フォロー感謝です。
ともあれ今後ともよろしくどうぞ。