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ドナルド・E・ウェストレイク『忙しい死体』(論創海外ミステリ)
ドナルド・E・ウェストレイクの『忙しい死体』を読む。
ハードボイルドでスタートした著者が、その作風をユーモアに転換させていった時期の作品。このひとつ前には同じくユーモアミステリの『弱虫チャーリー、逃亡中』があり、その前には『憐れみはあとに』があるのだが、こちらはハードボイルドから離れたとはいえスリラーであったし、本格的にユーモアを取り入れたのは本書が二作目となる。

ボスの片腕として働く、若きギャングのエンジェル。あるとき彼はボスに命じられ、墓から死んだばかりの仲間の死体を掘り出すよう命じられる。実はその死体が着ていたスーツには、なんと二十五万ドル相当のヘロインが隠されていたというのだ。気がすすまないながらも、深夜に墓堀へ向かうエンジェル。ところが棺からは死体が消え失せており、エンジェルはさらに死体探しをボスから命じられるが……。
後のユーモアミステリでの活躍を十分に彷彿とさせる作品だが、まだ書き慣れていないせいか、後期の作品ほどには弾けていない。主人公はわりとノーマルなタイプだし、ドタバタではあるが悪ふざけという感じがない。訳のせいかもしれないが、文章もやや抑えている印象。そこで好みが分かれる気もするが、個人的にはこれもアリ。
まあ絶賛するほどではないけれど、後味もよく、通勤通学のお供や暇つぶしにはちょうどいい一冊といえる。
ハードボイルドでスタートした著者が、その作風をユーモアに転換させていった時期の作品。このひとつ前には同じくユーモアミステリの『弱虫チャーリー、逃亡中』があり、その前には『憐れみはあとに』があるのだが、こちらはハードボイルドから離れたとはいえスリラーであったし、本格的にユーモアを取り入れたのは本書が二作目となる。

ボスの片腕として働く、若きギャングのエンジェル。あるとき彼はボスに命じられ、墓から死んだばかりの仲間の死体を掘り出すよう命じられる。実はその死体が着ていたスーツには、なんと二十五万ドル相当のヘロインが隠されていたというのだ。気がすすまないながらも、深夜に墓堀へ向かうエンジェル。ところが棺からは死体が消え失せており、エンジェルはさらに死体探しをボスから命じられるが……。
後のユーモアミステリでの活躍を十分に彷彿とさせる作品だが、まだ書き慣れていないせいか、後期の作品ほどには弾けていない。主人公はわりとノーマルなタイプだし、ドタバタではあるが悪ふざけという感じがない。訳のせいかもしれないが、文章もやや抑えている印象。そこで好みが分かれる気もするが、個人的にはこれもアリ。
まあ絶賛するほどではないけれど、後味もよく、通勤通学のお供や暇つぶしにはちょうどいい一冊といえる。
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