- Date: Tue 03 11 2009
- Category: 国内作家 横溝正史
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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横溝正史『横溝正史探偵小説選II』(論創ミステリ叢書)
昨日の神田古本まつりは、やはり一度ぐらいはのぞいておこうと思っていたら、小雨が降り出してあえなく玉砕。結局今年は縁がなかったということで。
読了本は論創ミステリ叢書から『横溝正史探偵小説選II』。未発表作品「霧の夜の出来事」を含む『横溝正史探偵小説選I』も悪くはなかったが、本書でも単行本初収録となる作品をどかっと詰め込んだ大盤振る舞い。ジュヴナイル拾遺集ゆえの品質がちょいと気になるとはいえ、御大の未読作品がまだまだ読めるという事実に感謝。古本を探さなくとも古い作品は読めるのである、って負け惜しみですか。

■創作篇
※三津木俊助・御子柴進の事件簿
「孔雀扇の秘密」
「赤いチューリップ」
「魔人都市」
「鉄仮面王」
「怪盗X・Y・Z/おりの中の男」
「怪人魔人」
「爆発手紙」
「渦巻く濃霧」、
「曲馬団に咲く花」
「変幻幽霊盗賊」
「笑ふ紳士」
「鋼鉄仮面王」
「薊を持つ支那娘」
※誰が犯人か?
「匂う抽斗」
「目撃者」
■随筆篇
「「大迷宮」について」
「子供のための探偵小説」
「ミステリー好きの少年少女諸君へ」
収録作は以上だが、楽しいのはやはりシリーズ物の三津木俊助&御子柴進ものか。特に角川文庫版の『怪盗X・Y・Z』で収録されていなかった「おりの中の男」が読めるのは嬉しい。
「怪人魔人」以下のノン・シリーズものは、短めの長篇といってもいいぐらいのボリュームのものもあり、こちらも読み応えあり。なかでも名探偵対怪盗の図式をきちっと踏まえた「変幻幽霊盗賊」は楽しい。また、「笑ふ紳士」は古典の某有名作品にかなりインスパイアされたような作品で(当時にはよくある話だけれど)、すぐにあんな作品やこんな作品が頭に浮かぶが、これを書いては興味半減だろうからここでは秘密。でもミステリ的ギミックに満ちあふれた作品で、話自体は面白い。
ただ、これらを書いていた頃の正史は非常に多忙だったらしく、悪く言うと書き散らかしていたような部分も決して少なくはない。展開を急ぎすぎて説明不足だったり、あるいは唐突に終了したり、使い回しのネタがあったりという具合である。
残念といえば残念だが、本書を好んで読むような人間は、そういうところも含めて興味や考察の対象なのだろうから、まあいいんだろうけど。さすがに一般のミステリファンに勧めるようなものではないが、横溝ファンなら間違いなく買いの一冊。
読了本は論創ミステリ叢書から『横溝正史探偵小説選II』。未発表作品「霧の夜の出来事」を含む『横溝正史探偵小説選I』も悪くはなかったが、本書でも単行本初収録となる作品をどかっと詰め込んだ大盤振る舞い。ジュヴナイル拾遺集ゆえの品質がちょいと気になるとはいえ、御大の未読作品がまだまだ読めるという事実に感謝。古本を探さなくとも古い作品は読めるのである、って負け惜しみですか。

■創作篇
※三津木俊助・御子柴進の事件簿
「孔雀扇の秘密」
「赤いチューリップ」
「魔人都市」
「鉄仮面王」
「怪盗X・Y・Z/おりの中の男」
「怪人魔人」
「爆発手紙」
「渦巻く濃霧」、
「曲馬団に咲く花」
「変幻幽霊盗賊」
「笑ふ紳士」
「鋼鉄仮面王」
「薊を持つ支那娘」
※誰が犯人か?
「匂う抽斗」
「目撃者」
■随筆篇
「「大迷宮」について」
「子供のための探偵小説」
「ミステリー好きの少年少女諸君へ」
収録作は以上だが、楽しいのはやはりシリーズ物の三津木俊助&御子柴進ものか。特に角川文庫版の『怪盗X・Y・Z』で収録されていなかった「おりの中の男」が読めるのは嬉しい。
「怪人魔人」以下のノン・シリーズものは、短めの長篇といってもいいぐらいのボリュームのものもあり、こちらも読み応えあり。なかでも名探偵対怪盗の図式をきちっと踏まえた「変幻幽霊盗賊」は楽しい。また、「笑ふ紳士」は古典の某有名作品にかなりインスパイアされたような作品で(当時にはよくある話だけれど)、すぐにあんな作品やこんな作品が頭に浮かぶが、これを書いては興味半減だろうからここでは秘密。でもミステリ的ギミックに満ちあふれた作品で、話自体は面白い。
ただ、これらを書いていた頃の正史は非常に多忙だったらしく、悪く言うと書き散らかしていたような部分も決して少なくはない。展開を急ぎすぎて説明不足だったり、あるいは唐突に終了したり、使い回しのネタがあったりという具合である。
残念といえば残念だが、本書を好んで読むような人間は、そういうところも含めて興味や考察の対象なのだろうから、まあいいんだろうけど。さすがに一般のミステリファンに勧めるようなものではないが、横溝ファンなら間違いなく買いの一冊。
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いやいや、お気になさらずに。私もこれまで、けっこう好き勝手にいいかげんなことを書いているはずです(笑)。こちらこそ失礼いたしました。