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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ドナルド・E・ウェストレイク『弱虫チャーリー、逃亡中』(ハヤカワミステリ)

 なぜか急にモンティ・パイソンが見たくなって、HMVまで出かける。だが残念ながらTV版はなく、仕方ないので再編集された映画版『モンティ・パイソン・アンド・ナウ』を購入。
 中学の頃、ブラックユーモアの何たるかを教えてくれたのが、テレビでやっていた『空飛ぶモンティ・パイソン』だった。それ以来ギャグが面白いかどうかの線引きは、常にモンティ・パイソンだったような気がする。

 ドナルド・E・ウェストレイクの『弱虫チャーリー、逃亡中』読了。元々はシリアスな作品でデビューしたウェストレイクが、コメディ路線に方向転換した最初の作品である。
 主人公はなんの取り柄もなく、就職しては失敗だらけのダメ男チャーリー。今では叔父のとりなしで、しがないバーの雇われマスターをこなす日々だ。ただし、この職には裏がある。ときどき店に出入りする怪しげな男たちに、荷物を橋渡しする役目を負っていたのだ。これこそチャーリーだからこそできた役目。変に好奇心が強かったり山っ気がある人間にはとても務まらないというわけだ。ところがそんなある日、状況は一変する。チャーリーが組織を裏切ったと誤解され、いきなり命を狙われる羽目になる。追う二人組の黒服の男。逃げるチャーリー。おまけに組織のボス殺しの容疑まで突きつけられ、もはや運命は風前の灯火。こうなったら自分の手で犯人を見つけ出すしかないのか!?
 基本はチャーリーの逃亡を軸としたスピード感あふれる犯罪小説。これにコメディタッチの味付けがなされ、おまけにチャーリーが事件を通して成長してゆく様なども盛り込むなど、滅法口当たりのよい作品となっている。最後には関係者全員を集めて謎解きを行うなど、サービス精神も満点。コメディ路線一作目とはいうものの、すでに何の迷いもない完成された作品であるといえるだろう。
 残念ながら長らく絶版中であり、もし古書店で見かけたらぜひ。まあ、何千円も出すほどのものではないけれど。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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