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 リチャード・マシスンの『運命のボタン』読了。日本で独自に編纂された短編集で、表題作がキャメロン・ディアス主演の同題映画となり、その公開に合わせての出版のようだ。
 収録されているのは以下の十三編。既訳のあるものが意外と多く、これは作品集としての質を求めた結果ということか。それとも映画公開に間に合わせるために、埋もれた作品を探す手間を惜しんだか。
 当然ながら読みごたえはすこぶる高いので、マシスンの魅力は十分に味わえる。既訳の多さはともかくとして、入門用には最適な一冊である。

Button, Button「運命のボタン」
Needle in the Heart「針」
Witch War「魔女戦線」
Wet Straw「わらが匂う」
Through Channels「チャンネル・ゼロ」
Little Girl Knocking on My Door「戸口に立つ少女」
Shock Wave「ショック・ウェーヴ」
Return「帰還」
Dying Room Only「死の部屋のなかで」
The Puppy「小犬」
Steel「四角い墓場」
Mute「声なき叫び」
Nightmare at 20,000 Feet「二万フィートの悪夢」

 運命のボタン

 ところで、マシスンは長篇でも『地獄の家』や『アイ・アム・レジェンド』(『地球最後の男』で刷りこまれてるから、この邦題はいまだに馴染めない。ま、そうはいっても原題に忠実なのはこっちなんだけど)といった傑作があるけれど、個人的にはやはり本領は短編にあるような気がする。
 また、マシスンはいわゆる異色作家によくあるトリッキーなタイプではなく、どちらかというとテーマを絞って語りでじっくり読ませるタイプ。何でもない日常に、ある時、歪みが生まれ、やがてその歪みが大きくひび割れてカタストロフィになだれ込む。絞りに絞ったテーマだから余計な描写はなし。ただし、そのテーマに関しては実に丁寧に、ときには執拗なほど描いて、ムードを最高潮に盛り上げる。魅力はここに尽きるだろう。
 本書でも、表題作の「運命のボタン」こそ短いながらもツイストが効いた作品だが、全般的にはじっくり怖がらせてくれる作品が多い。有名な「二万フィートの悪夢」をはじめとして、「わらが匂う」とか「戸口に立つ少女」「ショック・ウェーヴ」「帰還」あたりはさすがの出来映えだが、ここは本邦初訳ということもあるので、「小犬」をマイ・フェイヴァリットに挙げておこう。恐怖の対象が徐々に変化していく過程がとんでもなく巧い。
 なお、ベストとはいえないが、美少女アニメファンには「魔女戦線」、ウールリッチファンには「死の部屋のなかで」をオススメしておく。理由は御自分でお確かめ下さい(笑)。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





>空犬さん
『ヒー・イズ・レジェンド』ですよね。キング親子とかランズデールとか面子が豪華。中でも注目はマシスンの長男でしょうか。ミステリ系の二世って成功した人をあまり聞かないから、実力が気になりますね。
【2010/04/24 01:49】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

マシスン、いいですね。
小学館文庫で出たトリビュート作品集と一緒に読むのもいいかもしれませんね。
【2010/04/24 00:50】 URL | 空犬 #-[ 編集]















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