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 ここのところ映画ネタばかりで、これではミステリー&SF映画三昧である。そろそろ読書感想も書かないと、というわけで本日は『松本清張短編全集07鬼畜』。

「なぜ「星図」が開いていたか」
「反射」
「破談変異」
「点」
「甲府在番」
「怖妻の棺」
「鬼畜」

 松本清張短編全集07鬼畜

 まずは表題作の「鬼畜」からいこう。映画でも有名なこの作品はとにかく怖い。
 小さな印刷会社を経営する男が柄にもなく愛人を囲って三人もの隠し子を作ってしまう。それが妻にばれてからの転落ぶり。やがては生活にも困り、可愛いはずの子供を一人ずつ……。気弱な男が妻にそそのかされ、良心に苦しみながらも徐々に深みにはまってゆく心理、それを事細かに描いているだけでなく、被害者が子供であることが恐ろしさを倍増させる。正に鬼畜の所業。
 犯行が露呈した時点で結末となるが、このラストの後に待ち受けるであろう哀しい展開も容易に想像でき、読後もしばらくはダメージが残る。そこらのホラーなど足元にも及ばない怖さ、そして人間の闇について考えないではいられないパワー。間違いなく必読の一篇である。ちなみに映画も凄いです。

 「鬼畜」だけでもお腹いっぱいの本書だが、実は他にも佳作が多い。
 乱歩の「心理試験」を意識したかのような「反射」。
 清張流の奇妙な味、もしくは社会派っぽい奇妙な味といってもよい「点」。
 「甲府在番」は、左遷に等しい甲府勤番を自ら望んだ男が体験する恐怖を描く。時代物だがミステリー的な味つけで、真相が近づくにつれホラーに変質するという優れもの。ラストを(いつものことながら)サラッと流しているのがもったいない。
 「怖妻の棺」は清張には実に珍しいユーモア溢れる時代ミステリ。トリックというかメインのネタは目新しくもないが、清張がこういう着地点のものも書いていたという事実だけで楽しくなる。

 清張の短篇の上手さはこのシリーズで十分思い知ったのだが、本書はまたひときわ強烈な印象を残す一冊。おすすめです。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



















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