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 先日の人間ドックでコレステロールの数値があまり良くなかったため(といってもここ数年ずっとなんだけど)、ついにジョギングを始めることにする。とりあえず一日3kmぐらいのペースでスタート。あまり続く自信はないのだけれど、ここで宣言しておけば少しは続くかな(苦笑)。


 J・B・プリーストリーの『夜の来訪者』を読む。
 プリーストリーはイギリスの劇作家で、本作も戯曲。本国はもとより日本でも度々上演されるぐらい有名な作品である。ベースは社会派のドラマであり、左翼的思想が色濃く出てはいる。しかしながら、それを表現するために彼がとったのは非常にミステリ的な手法であり、味つけだった。

 舞台は裕福な実業家の屋敷。経営者とその妻、娘、息子、そして娘の婚約者が揃って食事をとっている。今夜は娘の婚約を祝う場であったが、そこへ警部を名乗る男が訪ねてきた。彼は今夜、一人の貧しい娘が自殺したことを告げ、そして家族の一人一人が、その死に深く関わっていたことを暴いてゆく……。

 夜の来訪者

 おお、予想以上にいいな、これ。
 そこらのミステリ以上にミステリらしいとは聞いていたのだが、まさかここまでのものだとは。一家を訪ねてきたグール警部(これも意味深な名前)が家族を一人ずつ追い詰めていくシーンは、ドキドキ感と知的なカタルシスの両方を同時に充たしてくれる。
 著者としては、社会主義的な部分をこそ感じ取ってほしいのだろうが、これだけ面白いとかえってそれは難しかろう。むしろ人間の心の奥底に横たわる闇の部分、エゴといってもよいだろうが、その描き方が非常に興味深かった。警部が去った後で、逆に警部の追求を論破し、なかったことにしようとする家族たち。このシーンがあることで、本作はよりミステリ的になり、しかもドラマとしての深みが増してくる。何よりラストが活きる。
 警部の正体は果たして何であったのか……。オススメ。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





>HappyFlowerPopさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
これはいいですよ。サスペンス満点ですし、あっと驚くラストも秀逸。長篇ですが、さくっと読めるコンパクトさもいいですね。ぜひお楽しみください。
ではでは、今後ともよろしくお願いします。
【2010/06/22 18:42】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

はじめまして。
時々お邪魔させていただいています。
この本面白そうですね。
チェックしてみます。
ご紹介ありがとうございました。
また寄らせていただきます。
【2010/06/22 09:14】 URL | HappyFlowerPop #-[ 編集]

>杣人・somabitoさん
有名どころだけではなく、小劇団やアマチュア系でもかなり上演されているので、観る機会は意外にありそうですね。
ストーリーは面白いし、テーマも普遍的ですから、ローカルなアマチュア劇団とか学生の劇団にも扱いやすそうな感じです。
【2010/06/20 11:57】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

sugata様、おはようございます。
おや?何処かで聞いたタイトル。ずいぶん前に見た舞台かな?なんて思いながら取り寄せて読んでみました。
戯曲としての手法をつかいながら展開してゆく巧さ、追い詰められ暴かれてゆく事実。でも真実は?
時代設定を作者の意図にいかしながら、見事に作られた作品ですね。
ラストのオチは“こうきたか”と納得でした。

そして、やはり舞台を見ています。
でも何処でだろう? って私の謎は続いています。

ご紹介有難うございました。
【2010/06/20 08:44】 URL | 杣人・somabito #sT9rQsUs[ 編集]

>めとろんさん
『夜の来訪者』の映画版の記事、拝見しました。
確かにあれはまずいですね。トリックの胆をないがしろにしているというか(苦笑)。

ところでお芝居の方は昨年、岡本健一、坂井真紀、八嶋智人、高橋克実、梅沢昌代、渡辺えり、というキャストでやっていたようです。けっこう面白い人選で、これは観てみたかったです。
【2010/06/16 01:03】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

こんばんは、めとろんです。

『夜の来訪者』の映画版、かつて拙ブログにて採りあげさせて頂きました。
この作品、映像化に際しては、ある種叙述トリックをどう扱うかが難しいかと思います。

【2010/06/15 02:55】 URL | めとろん #nzfQoPME[ 編集]















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