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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ドワイト・リトル『TEKKEN -鉄拳-』

 小説の映画化が往々にしてこけるように、ゲームの映画化(ここでは実写に限る)もまた同様である。いや、むしろゲーム映画化の方が惨憺たるありさまであろう。内容的にも興行的にも成功した例としては、『バイオハザード』や『トゥームレイダー』が頭に浮かぶが、その後がもう続かない。まあ、正直、駄作が当たり前のジャンルといってよいだろう。ゲーム映画化の歴史は、概ねゲームファンの怒りの歴史でもあるのだ。
 この春、そんな棘の道をあえて歩もうとした、一本の映画があった。本日紹介する『TEKKEN -鉄拳-』(監督はドワイト・リトル)である。

 原作となるゲームは、バンダイナムコゲームスが発売する『鉄拳』シリーズ。3D格闘ゲームとしては『バーチャファイター』シリーズと双璧を為す人気ゲームである。ゲームシステムもさることながら、そのキャラクターや世界観の突き抜け具合が見事であり、映画化もおそらくはその辺りに目をつけてのことなのだろう。
 しかしながら、これを劇場で観るのはなかなか勇気が要る。劇場公開は今年の三月頃だったかと思うが、ゲーム映画化という時点で既にB級感は拭えないところに加え、キャストもスタッフもまったく無名。管理人もそれなりに思い入れのあるゲームなので、そのキャラクターイメージが壊れるのではないかという不安もある。
 あえて地雷を踏む必要があるのか、などと悩んでいるうちに、ロードショーはあっという間に終了。なんでも日本におけるワーナーの週末興行収入記録を塗り替えるほど不入りだったそうである。うう、恐ろしや。

 まあ、そんなこともあってすっかり忘れていた映画だったのだが、先週末、DVD落ちとなっているのをレンタルショップで発見。思わずレジへ直行したのであった。
 で、感想だが。結論から書くと、もう見事なまでに予想どおりダメダメである。設定とキャラクターを借りただけの実にイージーな仕上がりで、ゲームファンがそれぞれ持っている『鉄拳』のイメージは木っ端みじんに打ち砕かれる。
 セットの貧弱さを隠す夜のシーンの多用。微妙すぎる日本語の連発。キャラクターの粗雑な扱い(それぞれファンがいるのに、あんなバンバン殺しちゃだめでしょ)等々。
 特にキャラクターの扱いはひどい。ゲームで際だっている格闘家達の個性がほぼ消され、みんな戦い方が同じなのは困ったものである(唯一、エディ・ゴルドはよかった)。頼むから固有技使ってくれよ。それがあるだけでずいぶん『鉄拳』らしくなるんだけれど。ストーリーの貧弱さは端から期待していないのでまだ許せるが、格闘シーンはどこからどう考えてみても「ウリ」のはずだろうに。

 いいところもないではない。
 主人公の「風間仁」役の役者さんは甘いマスクで動きもよい。特にオープニングではフランスの競技パルクールのように、ひたすら敵から逃げ続けるシーンがあって、そこはけっこう引き込まれる。
 その他のキャラクターでは、レイヴンやエディ・ゴルド、吉光あたりが見た目的には悪くない。お色気担当のクリスティやアンナ、ニーナといった女性陣も同様に見た目は悪くないが、やはり格闘術にまったく個性がないのは大きなマイナスだ(繰り返すが、そこ、本当に肝だと思うのだけれど)。

 この手の映画に大傑作など誰も期待しないとはいうものの。せめて原作ファンを喜ばせるツボだけは外さずにしてほしいね。もっとひどいゲーム映画化作品は山ほどあるので、それに比べりゃましな方だとは思うけれども。

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Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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