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 かつて朝日新聞の日曜版に掲載されていた筒井康隆の『漂流 本から本へ』が、一冊の本にまとめられた。そのほとんどは既読のはずだが、連載当時から気に入っていたこともあって、書店で見かけて即購入。

 漂流 本から本へ

 内容は著者の半生を追いながら、その当時に読んでいた本を紹介するといったもので、要は自伝+書評といったスタイル。新聞の連載だから一回ごとの分量や掘り下げ方はそれほど大したものではないのだが、あらためて読んでみるとやっぱりこれが面白い。
 なんせ筒井康隆自身が感銘や影響を受けた作品を、幼少のころから遡って順次紹介しているのだ。採り上げられている作品も「のらくろ」や「少年探偵団」に始まり、つげ義春、クリスティ、マルケス、ハイデガーと非常に幅広い。筒井康隆がどういうふうに作家としての資質を伸ばしていったのか、あるいは作家として成長していったのか、その軌跡をものすごーく表面的ではあるが追体験できる次第。いわば「筒井康隆の作り方」を自ら解説しているようなものなのだ。

 もともと筒井康隆は小説家にしては珍しく、書評や評論も積極的にこなす人である。こういうエッセイ風味の濃い書評は、まさに独擅場。加えて連載のときにはそれほど強くは感じなかった自伝的な部分も、まとめて読むことでより浮かび上がってくる。
 個人的には南米のマジックリアリズム系など、筒井康隆のエッセイがきっかけで読んだ本も多い。そんな筒井作品との出会いまでも思い出せるわけで、これはもう筒井ファン必携の一冊と言ってよい。


テーマ:評論集 - ジャンル:本・雑誌



















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