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 本多猪四郎監督の『怪獣総進撃』を観る。東宝特撮怪獣映画としては20作目(ゴジラシリーズとしては9作目)にあたり、1968年に公開された。

 二十世紀末、国連科学委員会は小笠原諸島に科学的な防壁を設け、そこに世界の驚異となっていた怪獣を集め、「怪獣ランド」として平和裏に管理、研究を進めていた。だがキラアク星人と名乗る宇宙人に怪獣ランドが占領され、操られた怪獣たちが世界中の主要都市で暴れ回る……。

 前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』に続く本作は、当初シリーズ打ち止め作品として企画されたという。シリーズ自体の人気はあったものの、特撮に関わる制作費が非常にかさむため、利益が上がらなくなっていたらしい。
 そんな背景もあってか、制作者たちは最後の花火を打ち上げるべく、かなり力は入っている。元ネタはなんと忠臣蔵。タイトルも企画段階では『怪獣忠臣蔵』とされていたようだが、ストーリーはまったくの別物。要は怪獣オールスター総出演という程度の意味合いであろう。もちろん怪獣も47匹はさすがに無理だから、11匹登場というところで落ち着いている。ただし、本編に登場する敵方の宇宙人が「キラアク星人」すなわち「吉良・悪」という具合で、そこかしこに名残は残っている。

 まあ、とにかくそんなわけで、怪獣がどっと登場するというところは一応見ものではある。出演怪獣は、ゴジラ、ミニラ、ラドン、モスラ、アンギラス、バラン、マンダ、バラゴン、ゴロザウルス、クモンガ、キングギドラ、以上11名の方々。もちろんここまで豪華な布陣は史上初で、この11匹という数は現時点でのシリーズ最終作『ゴジラ FINAL WARS』まで抜かれることはなかった。
 ただ、この11匹が一気に暴れるというシーンは、実はそれほど多くない。クライマックスでゴジラ一同がキングギドラと対峙するシーンでも、もっぱら力仕事はゴジラ、アンギラス、ゴロザウルスの役目で、その他の方々は別にいなくてもいいんじゃないかというほどの扱い。バランやバラゴンなんて、出演時間はほんの数秒という始末。過去の作品の使い回しもちらほら。最も嫌なのは怪獣の価値を、くだらない戦いで自ら貶めていることだろう。特にキングギドラの使い方はあまりにもったいない。
 むしろクライマックスよりは、ゴジラ、ラドン、マンダ、モスラが東京を同時に襲撃するシーンの方が遙かにゾクゾクしてよろしい。特にマンダがモノレールの架線に巻き付く辺りは、絵的に実に新鮮である。
 なお、怪獣の出演加減は、ストーリーだけでなく、ぬいぐるみの状態という切実な問題もあったようで、これで打ち止めという前提がある以上は仕方ないところだったのかも。その中で特撮スタッフはよく頑張ったといえるのかもしれない。

 その他の見どころとしては、相変わらず土屋嘉男がいい役どころを演じていて楽しい。キラアク星人に操られ、人類を慇懃無礼に脅迫するシーンなんて、思わずのけぞってしまったよ(笑)。
 あとはやっぱり月ロケット、ムーンライトSY-3の活躍。音楽とも相まって、これがまあ格好いいこと。艦長を演じる久保明もいつもより若干おちゃらけを抑え、正統派二枚目路線でかっとばす。

 以上のように、怪獣の対決が残念なことになってはいるが、いい点も決して少なくない映画である。実際、当時の子供にとって(管理人含む)、この怪獣大集合という図柄は正に夢の物語。出来不出来はおいといて、やはり昭和のゴジラシリーズを語る上で、忘れてはいけない一作といえるだろう。





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