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 DVDで『刑事コロンボ/さらば提督』を視聴。
 シーズン5の掉尾を飾る作品だが、もともと製作費や撮影の手間隙がかかるこのシリーズ、さすがにシーズン5ともなれば、かつてほどの人気を維持することも難しく、この作品をもってコロンボシリーズ打ち止めとなる予定だったとか。そういうことも関係してか、本作は凝った仕掛けや遊びが満載である。

 ただ、本作の魅力を語ろうとすると、どうしてもある程度のネタバレは必至。申し訳ないですが、今回は未見の方はご注意ください。



 物語の舞台は、主にヨットなどを造っているとある造船会社。オーナーは造船業界で”提督”と呼ばれるほどの実力者だが、今ではほぼ経営を娘婿に任せ、事業そのものは好調である。だが実のところその儲け主義に我慢がならず、会社をすべて売り払い、みんなも追っ払ってしまおうと画策していた。そんな気配を感じていた娘婿や娘は言うに及ばず、甥や弁護士、造船所の所長など周囲の者は皆ヒヤヒヤ。このままでは飯の食い上げというわけで、遂にオーナーが殺害されてしまう……。

 まあ、上でネタバレ云々とは書いたけれど、本作の一番のサプライズはミステリの本筋からは、やや外れたところにある。どういうことかというと、コロンボシリーズお馴染みの倒叙ものというスタイルをとらず、正統派のフーダニットに仕上げたということだ。
 しかもただのフーダニットではない。冒頭からいつもどおり犯人らしき人物が犯罪工作を行っている。当然ながら視聴者はいつものようにその男が犯人だと信じ込んでしまうのだけれど、実は全体の半分以上も過ぎたあたりで、今度はその男が殺害されてしまうのだ。なるほど確かにその男は犯罪工作を実行していたけれど、殺害シーン自体は見せていないわけで、視聴者はここから一転、コロンボと共に真の犯人を推理してゆかねばならなくなるという趣向。
 正にシリーズのパターンを逆手にとる仕掛け。シリーズを熟知するファンほど、その驚きの度合いも大きいわけで、スタッフのニヤニヤ顔が想像できる。

 ちなみに終盤では、コロンボが関係者全員を集めて推理を披露し、真犯人を暴くというシーンも。これも本格ミステリドラマという感じで楽しいのだが、犯人を指摘する根拠や証拠が弱かったりして、なんとも惜しい。ここできっちり締めてくれれば傑作にもなったのだろうが。

 話を最初に戻すと、実際の話、これが最終話になるという含みを、制作スタッフがどの程度ドラマの中に反映させたのかは知る由もない。しかし、上で挙げたようなシリーズを踏まえた仕掛け、あるいは若手刑事を育てるエピソード、ラストのボートに乗るシーンなど、それらしいネタは確かに多く、それを探しながら観るのも一興かと。
 個人的にはシリーズの打ち止めとコロンボの禁煙をかけた、ラスト近くのセリフが好み。「まだまだやめられませんよ。もう少しやらせてもらいますからね」。
 傑作にはちと届かないものの、見どころは多く印象的な作品である。


テーマ:刑事コロンボ - ジャンル:映画





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【2011/03/02 22:42】 | #[ 編集]















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