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 本日も本題に入る前に、とりあえず地震体験記っていうか自分のための覚え書き。
 勤め先が社員自宅待機にしたという話を先日書いたばかりだが、17日の木曜だけは外せない仕事があるという者がいて、立ち会いで出社。まあ、それは特に問題もなく完了。こちらも溜まっている仕事をついでにいくつか片付け、昼の1時頃には会社を完全に閉めたのだが、ここから先が想定外。
 帰宅途中にメールで連絡が入り、なんと緊急案件が持ちあがったという。しばし電話やメールで関係者たちと協議に入り、結局は帰宅まであとひと駅というところで、会社にとって返すことになる。まあ、普段ならまだしも、その日の世間は、原発への放水が失敗だとか、東京で大規模停電の可能性がどうだとかいうタイミング。さすがに気が滅入るが毒を食らわば皿までとばかり(ちょっと使い方が変だけれど)、夕方には本日二度目の出社となる。
 この頃には大規模停電の可能性の影響で、新宿や渋谷の駅は大混雑。Twitterをみれば放水失敗で東京はもうだめだなんてTLが目白押し。おまけにそこそこ大きい余震も二、三度ある始末。ますます鬱になりながら、節電や早じまいの影響で真っ暗の神保町ビル街を眺める午後10時であった。
 というわけで、平常業務に早く戻したいものの、なかなか現実がそうさせてくれない日々である。当日、緊急招集となった皆さん、たいへんお疲れ様でした。



 いい精神安定剤にもなるし、こういうときこそもっと読書だということで、読了本はマシュー・ヘッドの『藪に棲む悪魔』。第二次大戦中のベルギー領コンゴを舞台にした異色の本格ミステリである。
 アメリカからコンゴに派遣された植物学者のフーパー。第二次大戦が深刻化する中、軍需品の原料となる植物の生産を行っているプランテーションを視察することが目的だった。ところが目的地についたその日、訪ねた相手が病死してしまうというアクシデントに直面する。それでも何とか職務を終え、やがてフーパーがプランテーションを離れるときがきた。だが、今度は病死した男の弟がナイフで殺害されるという事件が起こった……。

 藪に棲む悪魔

 著者のマシュー・ヘッドはこれが本邦初紹介。ベルギー人が多く登場するミステリだがご本人はアメリカ人で、本業は美術評論。どういう経緯でミステリを書くに至ったかはわからないが、ヴァン・ダインの例もあるし、けっこう蘊蓄満載系かと思ったが、かなり読みやすい作品だった。
 ただ、読みやすいのはいいのだけれど。
 本書が書かれたのは1945年。アフリカを舞台にしたミステリの、まさに走りである。その意義を考慮すればあまり注文はつけたくないのだが、描き方が浅いというか現地の猥雑さや熱気なんてものが全然伝わってこない。もちろんコンゴの描写は普通にあるのだけれど、それは事実を並べるだけ。結局は白人社会の人間ドラマばかりがピックアップされるわけで、特殊な舞台を用いた意味がそれほど感じられないのは残念だった。
 ミステリとしてもあまり目立ったところはない。本格としてまずまずフェアにまとめてはいるが、あまり読者を驚かそうとか楽しまそうという気はないようで、しいていえば主人公が探偵役なのかと思っていたらワトソン役なのでビックリしたことぐらいか。
 最初にいろんな意味で濃い作品を予想していただけに、この意外な薄味に物足りなさばかりが残る一冊であった。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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