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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

ラッセル・マルケイ『バイオハザードIII』

 一作目が意外な拾いもので楽しめたホラー映画『バイオハザード』。だが続編の『バイオハザードII アポカリプス』はシリーズ化を前提にしすぎた展開があまりにあざとすぎ、好みではなかった。とはいえミラ・ジョヴォヴィッチの魅力だけは一作目を上回ってはいたけれど(笑)。
 ま、それはともかくとして、三作目の『バイオハザードIII』ともなると、まず気になるのが、ここでピシッと三部作として片をつけるのか、あるいは確実に稼げる安定したタイトルとして延々とエンドレスのシリーズ化を目指すのかということ。
 結果からいうと、既に『バイオハザードIV アフターライフ』が存在していることからもわかるように、『バイオハザード』シリーズは後者を選択したわけだ。こうなるともう根本にあるテーマ性などの比重は低くなる一方。シリーズの寿命を延ばすためにすべての努力が注がれる。常に新作を期待できるのは嬉しいが、品質低下の可能性は相当高くなるというわけで、ファンとしては複雑な心境であろう。

 とまれラッセル・マルケイ監督による『バイオハザードIII』はそんなシリーズの明暗を分ける一作であったはず。ここで制作スタッフはストーリーを原作のゲームから離し、完全オリジナル仕様にすることで打開を図ったようだ。
 既にT-ウィルスの汚染を止めることかなわず、世界中はゾンビ一色。アンブレラ社は本部をはじめとした地下施設を建造し、各支部の連携でT-ウィルスの研究を続けている。一方、僅かに生き残った人々は生活共同体を作り、集団で旅をすることで日々の危険から逃れている。そんな中、アリスはアラスカが安全な土地であると記されたノートを入手する、という展開。

 既に世界がゾンビ一色とくれば、思い出すのはマシスン原作の『アイ・アム・レジェンド』。本作はそれを西部劇タッチで見せるホラー・アクション映画というイメージ。言うたらゾンビ版『駅馬車』ですな。この駅馬車的要素に、アリスが備え持つT-ウイルスの抗体を利用しようとするマッド・サイエンティストが絡む。

 もはやシリーズの過去作を観ていなければ何のことやらわからないストーリー。ただ、それでも矢継ぎ早に展開するアクションで、ストーリーを引っ張る力はそれなりにある。
 問題はやはりアリスの超絶的な能力開花であろう。これについては前作からいい加減だったが、本作ではもう超能力とか普通に使えるというむちゃくちゃなレベルで、いや流石にここまでやっちゃだめでしょ(笑)。
 ただ、ラストの見せ場は(これも徹底的に御都合主義ではあるんだけど)巧く、これがあるからブツブツ文句を言いながらも次を観てしまうのであろう。
 ま、既に次作の『バイオハザードIV アフターライフ』も観てはいるので、こちらの感想も気が向いたら、ということで。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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