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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


鮎川哲也『アリバイ崩し』(光文社文庫)

 ブログのカテゴリーを一部修正。「アンソロジー」をこれまで編者別であいうえお順に並べていたのだが、どうにも検索性が良くないので、出版社別あいうえお順に変更。まとまったシリーズや叢書がある場合は、そこからさらに独立させる方向で。


 昨日に引き続いて鮎川哲也をもう一冊。こちらは現役バリバリ、先月に光文社文庫で出たばかりの『アリバイ崩し』。タイトルどおりアリバイ崩しネタを集めた短編集だが、裏テーマとして――いや別に裏でもないんだろうけど(笑)――アユテツの入手しにくいノンシリーズを中心にした短篇集成を作ろうという狙いがあるようで、本書はその第一弾ということらしい。
 収められているのは以下のとおり。すべて1960年代に発表されたアリバイ崩しもの五編+未収録エッセイ二編という構成。

「北の女」
「汚点」
「時刻表五つのたのしみ」(エッセイ)
「下着泥棒」
「霧の湖」
「夜の疑惑」
「私の発想法」(エッセイ)

 アリハ#12441;イ崩し

 アリバイ崩しもの、というと一見、退屈なイメージを持たれる人もいるかもしれないが、鮎川哲也のようなマエストロともなるとさすがに抜かりはない。初期の作品とはいえ、既にその見せ方にいろいろなバリエーションがあるのが見事だ。
 トリックそのものは正直、小粒な印象はあるのだけれど、どうやって強固なアリバイを崩していくのか、その過程が何より面白いのである。けっこうコロンボもののイメージに近くて、アリバイ物に免疫が無い人でも意外にすんなり楽しめる感じもある。
 また、ノンシリーズと言うこともあるのだろうが、シリーズ物にはあまり見られない思い切ったプロットやオチ(例えば完全犯罪が成功したまま終わるとか)も多く、それがまたバラエティ感を強くしているのも○。
 概ね満足できる出来ではあるが、個人的にはあまり奇をてらわない「北の女」や「汚点」が逆に印象に残った。ただしラストをさらっと謎解きで流しているのがちょっと不満で、そういう意味では「夜の疑惑」のラストはなかなか面白かった。

 ということで、アリバイ崩しものはちょっと……という食わず嫌いの人にもおすすめできる良質な短編集。あまりジャンルにこだわらず、素直に楽しんでほしい一冊である。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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