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 DVDで『刑事コロンボ/死者のメッセージ』を視聴。最終第7シーズンの一作目、トータルでは第四十一作目にあたる作品。

 ミステリー界の女王と称されるアビゲイル・ミッチェル。七十歳を越えた今も創作意欲は旺盛で、何もかもが順風満帆に見えた。だが実は数ヶ月前、我が子同然に可愛がっていた唯一の身寄りである姪フィリスをヨット事故で失っており、失意のなかにあった。しかも、フィリスの死は事故ではなく、夫エドモンドの犯行であることに気がついており、秘かに復讐の機会を窺っていたのだ。
 そしてそのときが訪れた。アビゲイルはアリバイ工作を図りつつエドモンドを自宅の金庫室に閉じ込め、窒息死させることに成功する。だが、金庫室の中に残されたさまざまな手がかり、何よりもそこにあるべきだった車の鍵がなかったことから、コロンボはこれが他殺ではないかと疑いをもつ。

 コロンボ・シリーズでも珍しいダイイング・メッセージもの。しかも直接的なダイイング・メッセージではなく、金庫室の中に残された数々の手がかりをもとに、メッセージの仕組みから再構築していくというのがミソ。ただ、ダイイング・メッセージ自体はそれほどのものではなく、これで満足できるミステリファンは少ないのではないだろうか。

 それを補うのが、犯人アビゲイルを主人公とするドラマの部分。いってみれば苦悩する犯人の物語。また、犯人を憎むべき存在とせず、視聴者の共感を呼ぶようなキャラクターとしているのも効果的だ。まあ、『別れのワイン』のパターンをさらに進めたような形である。
 作中で、コロンボがアビゲイルの講演会に参加し、聴衆の前でスピーチするはめになるシーンがある。
「犯人に好意を持つこともある。殺しは悪いに決まってるが、犯人の知性やユーモア、人柄に対して。時には尊敬さえした」
 コロンボはこのメッセージを、正にアビゲイルに向けて発しているわけで、それがそのまま本作のメッセージともいえるだろう。さらにこのスピーチを受けたかのようなラストシーンのアビゲイルのセリフ、「あなたが姪の事故を捜査してくれていたら、こんなことにはならなかったのに」も泣かせる。
 
 そんなこんなで、ミステリとしてはやや物足りないけれど、テレビドラマとしては楽しめる一本。アビゲイル役のルース・ゴードンも非常に矍鑠として、コロンボとのやりとりも見ものである。


テーマ:刑事コロンボ - ジャンル:映画




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