ADMIN TITLE LIST
 河出文庫のミステリー紀行シリーズから『神戸ミステリー傑作選』を読む。文字どおり神戸を舞台にしたミステリーのアンソロジー。まずは収録作から。

高木彬光「黒い波紋」
千代有三「痴人の宴」
森詠「真夜中の東側」
三枝和子「街に消えた顔」
      梅雨のトア・ロード
      秋風メリケン波止場
島尾敏雄「石像歩き出す」
眉村卓「須磨の女」
陳舜臣「幻の不動明王」

 神戸ミステリー傑作選

 このシリーズは割と短めの作品が収録されているイメージがあったが、本書はけっこうボリュームのある短篇が多い。ただ、残念ながらボリュームに反比例して、出来は全体的に低調である。

 注目作品としては、まず千代有三「痴人の宴」。神津恭介をチラッとかませてみるなど遊び心はあるけれど、トリックのインパクトがそれを上回らない。
 森詠「真夜中の東側」は雰囲気のあるハードボイルドだが、ラストの御都合主義が強くて残念。きれいにまとめすぎたか。
 文学畑からは三枝和子、島尾敏雄というところが要注目。どちらも日常からちょっと踏み外したような感のある不思議な味わいをもつ幻想譚。だが悲しいかな小粒だよなぁ。とはいえ、まさかこのシリーズで島尾敏雄が読めるとは思っていなかったので、個人的にはお得感あり。
 ちなみに島尾敏雄『死の棘』を未読の方は、騙されたと思って読んでいただきたい。下手なサイコサスペンスが裸足で逃げ出す怖さである。

 最後に重箱の隅だけど、童謡『赤い靴』を作中であげている作品が二つほどあったのが気になった。これ、由来については諸説あるようだけど、神戸にはまったく関係ないよね? 横浜と混同したかな?


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 探偵小説三昧, All rights reserved.
ネット小説