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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ウィリアム・ブリテン『ストラング先生の謎解き講義』(論創海外ミステリ)

 8月末日、水曜のことだが、夕方頃から体の節々に痛みが走り出した。これまでも四十肩とか左膝の痛みとか、年相応にガタはきていたのだが(苦笑)、これがシャレにならないくらい全身が痛み出して、その日は何とか帰宅したものの寝ているのも辛く、翌日は自力で歩けないくらいになってしまう。しょうがないので会社は休み、嫁さんにクルマで送ってもらって近所の大病院へ向かう(このクルマの乗り降りだけでも大変)。
 でまあ内科で血液検査やらレントゲンの後、翌日には整形外科でも検査(ちなみに車椅子にも初めて乗った)。鎮痛剤のおかげで、今日辺りからようやく痛みが引いてきたのだが、いや、それにしてもきつかった。足が痛くて歩けないのというのはけっこう想像できると思うのだけれど、肩や手首、指の関節も同時に痛いと、自分でシャツが脱げないとか、靴下がはけないとか、顔を洗えないとか、歯を磨けないとか、まあ不便極まりない。動くと痛いのでじっと寝ていても、体がこわばって次に動くときが猛烈に痛い。もう最悪である。
 実は今回の症状の前に、高熱が出たりしていろいろと伏線はあったのだが、面倒なのでそれは省略。とりあえず病名がまだ判明していないのが気がかりだが、既にいくつか候補はあるようで、この辺は血液検査の結果待ちだそうな。ううむ、リウマチとかは勘弁してほしいんだけどな。
 まあ季節の変わり目、皆様もくれぐれもご自愛ください。



 さて話題は変わって、本日の読了本。ウィリアム・ブリテンの『ストラング先生の謎解き講義』である。
 探偵役は著者の経歴を生かした高校教師のストラング先生。勤務先のオルダーショット高校では科学全般を教える老教師だが、ある事件をきっかけに素人探偵に手を出すようになり、数々の不可能犯罪に挑んでゆく。収録作は以下のとおり。

Mr. Strang Gives a Lecture「ストラング先生の初講義」
Mr. Strang Takes a Field Trip「ストラング先生の博物館見学」
Mr. Strang Lifts a Glass「ストラング先生、グラスを盗む」
Mr. Strang Finds an Angle「ストラング先生と消えた兇器」
Mr. Strang Hunts a Bear「ストラング先生の熊退治」
Mr. Strang Discover the Bug「ストラング先生、盗聴器を発見す」
Mr. Strang Under Arrest「ストラング先生の逮捕」
Mr. Strang Picks Up the Pieces「ストラング先生、証拠のかけらを拾う」
Mr. Strang, Armchair Detective「安楽椅子探偵ストラング先生」
Mr. Strang Battles a Deadline「ストラング先生と爆弾魔」
Mr. Strang Buys a Big H「ストラング先生、ハンバーガーを買う」
Mr. Strang Unlocks a Door「ストラング先生、密室を開ける」
Mr. Strang and the Lost Ship「ストラング先生と消えた船」
Mr. Strang and the Purloined Memo「ストラング先生と盗まれたメモ」

 ストランク#12441;先生の謎解き講義

 先日読んだ『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』は、探偵小説のパロディという形式をとった本格物だったが、こちらはオリジナルの名探偵ストラング先生を起用した本格物。総じてホックのサム・ホーソーン・シリーズなどを連想させるカラッとしたパズラーだが、こちらは学校が舞台ということもあってか、血なまぐさい暴力事件をほとんど扱わないのが特徴だろう。
 『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』の感想で、ロジックやトリックをそこまで求めたものではなく、全般的にはオチ優先の軽い読み物、なんてことを書いたのだが、こちらもテイストはほぼ共通である。

 ただ、世評的には地味だとか言われているシリーズらしいが(海外で単行本化されていないのもそのため?)、ストラング先生のキャラクターが意外にしっかり確立していて、予想以上に面白く読めた。
 何と言っても、小説や映画によく出てくるような熱血タイプとか型破りなタイプの先生ではなく、事実を事実として受け止め、そのうえで公平な判断を下すというキャラクター設定がいい。変に生徒をかばうこともなく、その犯した行為で対応する。だからこそ逆に生徒からの信頼も厚くなるという寸法。まあ、現実はこれほど上手くもいかないだろうが、物語の味つけとしてはなかなか新鮮だ。

 『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』同様、相変わらずクイズみたいな作品もあるけれど、印象的な作品も多い。個人的には「ストラング先生と消えた兇器」、「ストラング先生、証拠のかけらを拾う」あたりがお好みだが、まあ、これらもクイズっぽいちゃあクイズっぽいんだけどね。
 ま、こういうのは目くじら立てずに読むのが吉かと。

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Comments

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ポール・ブリッツさん

「~グラスを盗む」は私も嫌いじゃないですよ。「~熊退治」はう~ん……(笑)。

ところでエアード、密かに人気がある作家ですよね。私も二冊持っていますが、ずっと積んだままなんで、そのうち人気の秘密を知りたいところではあります<早く読めよ。

Posted at 00:22 on 09 07, 2011  by sugata

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個人的には「グラスを盗む」と「熊退治」が好きです。

「グラスを盗む」の、上質のジュブナイルを読んでいるかのような(もちろん大人の読むミステリでもありますが)どきどき感もいいですが、

「熊退治」のあの一種幻想的なクライマックスシーンは忘れられません(^^)

「熊退治」はある意味、バカミスと呼ばれてもしかたないような作品ではありますが、好きなものは好きなんじゃあッ!!(^^)

続き出ないかな……出ないよなあ……。

ところで今日、近所の古本屋で未読のエアードを五十円で買いました。るんるん。

Posted at 18:37 on 09 06, 2011  by ポール・ブリッツ

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英三さん

ま、まあ、確かにしぶいです(笑)。
なんかツボに入ったようですが、良かったらぜひ読んでみてください。

Posted at 12:03 on 09 04, 2011  by sugata

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探偵シブい!

Posted at 09:42 on 09 04, 2011  by 英三

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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