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 東宝特撮映画DVDコレクションから、本日は石田勝心監督による『東京湾炎上』を観る。
 1975年に公開された本作は、タンカーのシージャックをテーマにした特撮映画。当時、世界的に流行していたパニック映画に、やはり当時多発していた海難事故を組み合わせたもので狙いは悪くない。

 こんな話。原油を満載して帰国の途についていたタンカー「アラビアン・ライト号」が、浦賀水道を航行中、遭難者を騙る6人組の男たちに乗っ取られた。彼らはタンカーの原油タンクに爆弾を仕掛け、東京湾の奥深くに停止させる。そのうえで彼らが要求したものは、鹿児島県喜山CTD及びコンビナートの破壊およびテレビ中継だった。要求がのめない場合は、東京湾でタンカーを爆破するという。
 どちらにしても大惨事は避けられない。苦悩する政府だったが、現地の映像に特撮の爆破映像を合成し、テロ集団を欺こうとする博奕に打って出る。

 東京湾炎上

 アイデアは面白い。特撮映像でシー・ジャッカーを騙すというメインプロットは、まさにメタ特撮映画。まあ、この手のものには古くは『スティング』、『カプリコン1』なんていう名作もあるわけで、ネタ的にはそれほど珍しいわけではない。それを面白く感じさせるのは、円谷プロという日本有数の特撮集団が自らそれに絡むからに他ならない。物語や映画そのもの面白さとはまったく関係ないんだけれど(笑)、実に注目すべきポイントなのだ。
 豪華キャストも見逃せない。主要な役どころでは藤岡弘に丹波哲郎、水谷豊に宍戸錠などなど男臭さ満載。
 また、ドラマの舞台をタンカーと対策本部にほぼ絞っているところなどは、スケール的にはマイナスだが緊迫感アップには貢献しており、個人的には評価したい。

 というようにポイントだけ挙げていると傑作の気配はあるのだが、いや、残念ながら脚本の造りが粗いのだ。
 特に人間ドラマは伏線だけ盛り込んで、あとは投げっぱなしみたいなのが多いのが困る。藤岡弘の恋愛ネタだとか、水谷豊演じる日本人テロリストの背景だとか、このエピソードの影にはいろいろなドラマがあったんだろうなというこちらの好奇心はことごとくスルーされる。この辺りがしっかり整理されていれば、より満足できる出来になったのに。ああ、もったいない。

 なお、本作は田中光二の小説「爆発の臨海」を原作としている。こちらは紛れもない傑作ゆえ、興味を持たれた方はぜひどうぞ。






きみやすさん

こちらこそ今年もよろしくお願いします。

>最初に観た時(小学生の頃)は
「北野広大先生が悪い奴になってる!!」のに
非常に驚きました。

この頃の北野先生こと水谷豊はまだブレイク前ですが、けっこういろんな映画やテレビにクセのある役で出ていますね。私なんかはやはり『傷だらけの天使』が印象深いです。

それにしてもこの映画、今ではあまり知られていないのかと思いましたが、観ている人けっこう多いですね。
【2012/01/22 23:10】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

こんばんは。
『夜の真義を』に未だ手こずっている(笑)
きみやすです。

これを読み終えてからコメントをと思っている間に
どんどん更新が進んでらっしゃるので
タイミングを失ってしまいました。

>物語や映画そのもの面白さとはまったく関係ないんだけれど(笑)、実に注目すべきポイントなのだ。

見事なまでの一刀両断(笑)

>藤岡弘の恋愛ネタだとか、水谷豊演じる日本人テロリストの背景だとか

自分も再見した時にその辺が
ほぼ投げっぱなしだったのに驚きました。

最初に観た時(小学生の頃)は
「北野広大先生が悪い奴になってる!!」のに
非常に驚きました。

>田中光二の小説「爆発の臨海」を原作としている。こちらは紛れもない傑作

ああ、懐かしいですね~。
また読みたくなってきました。

遅くなりましたが
本年も宜しくお願い致します。

【2012/01/22 22:05】 URL | きみやす #-[ 編集]

ポール・ブリッツさん

田中光二も赤江瀑もいい読者かと言われれば、なかなか苦しいところではあるのですが(苦笑)、何冊かは読んでます。今後、読むとすればおそらく赤江瀑だろうなとは思うのですが、もう少し個人的な機が熟すのを待つことにいたします。
そのときにはぜひ御教授ください。
【2012/01/09 23:11】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

田中光二先生は一時期大ハマりしました。ハードな冒険SF小説を書かせたらあの人以上の人はいませんでしたね一時期。

「爆発の臨海」は読みたいと思っていたけれどちょっと巡り会えず今に至ってます。

それもこれも、田中先生の某小説を「冒険小説」だと思って買ったら恋愛小説だったことがあったのと、しばらく後にアンソロジーに載った新作を読んだらどうしようもない駄作だったことが尾を引いて……。

個人的に、ベストは「わが赴くは蒼き大地」の第一部および第二部までですね。あんな面白い冒険小説はほかにない。第三部でガタガタになってしまったけれど。

トータルな長編としてのベストは「大滅亡(ダイ・オフ)」です。ショルツの理論はいつか使うぞ~(^^)



それはそれとして赤江瀑先生すごくいいです。下手な本格ミステリよりも「意外性」に富んでいます。なんであんな面白い小説を書く人がカルト作家なのかさっぱりわかりません。日夜布教に励んでいます……ってだからカルトなのか(笑)
【2012/01/09 22:46】 URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg[ 編集]















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