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 この数日の首都圏は久々に天気が崩れっぱなし。ただ、都心では雨なのに、管理人の住んでいる多摩地区では普通に雪になっているのがいやはやなんとも。まあ雪といっても積もるほどでなし、雪国の人には鼻で笑われそうだが、それでもまあ寒いものは寒い。おまけにどこもかしこも車だらけで、普段ならすいすい走れる道も渋滞だらけ。ああ、めんどくさい。


 こんな日は自宅でまったりDVD鑑賞というわけで、東宝特撮映画DVDコレクションから『ゴジラvsキングギドラ』。監督は前作『ゴジラvsビオランテ』に続いて大森一樹。シリーズ十八作目、1991年の公開である。

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 ゴジラと並ぶ東宝の看板怪獣であり、悪役として存在感十分のキングギドラだが、意外にもこの二匹がタイマンで対決するのは本作のみ。『ゴジラvsビオランテ』でその手腕を発揮した大森監督が、果たしてこの魅力的キャストをどう料理したのか。見どころはそのあたりなのだが、大森監督はここで思い切った設定を用意した。

 1992年、突如、日本に未来人と名乗る者たちがUFOで飛来した。彼らは二十三世紀の地球連邦政府の使者であり、将来的にゴジラによって日本が滅亡することを防ぐためにやってきたのだという。だが、いったいどうやって? そのヒントは、ノンフィクションライター寺沢健一郎が書いた一冊の本、『ゴジラ誕生』の中に隠されていた。
「太平洋のラゴス島に生息していた恐竜が、1954年のビキニ環礁で行われた核実験によりゴジラへと変異した」。
 未来人はこの仮説をもとに、1929年にタイムワープして、恐竜を核実験の影響を受けない別の場所に移動させ、ゴジラを誕生させないようにするというのだ。計画は予定どおり実行に移され、恐竜はベーリング海にテレポートされる。その結果、ゴジラは消滅した。
 だが一つだけ誤算があった。ゴジラのいた場所から新たにキングギドラが出現したのだ。それは未来人が1929年に残してきた未来世界のペットが核実験によって変貌した姿だった。未来人は最初からキングギドラを誕生させ、将来的に強大な力をもつ持つことになる日本を叩く計画だったのだ……。



 というようなお話である。もともと怪獣映画はSF映画の一種ではあるけれど、本作はとびきりSF要素を持ち込んで勝負している。UFO、未来人、タイムワープ、3D映像、テレポートなどなど。
 まあ、そういうチャレンジは全然OKなのだけれど、ただひとつまずかったのは、タイムワープをストーリーの骨格に据えたこと。
 その結果、本作はゴジラ史上でもトップクラスの粗だらけの作品になってしまった。

 タイムパラドックスという言葉があって、タイムワープすなわち時間旅行ものは相当うまくやらないと矛盾だらけになってしまうのはSFファンなら常識。楽しけりゃいいじゃん、という気持ちもあるにはあるが、それも程度問題。
 例えば、本作では「同じ時間に同一人物は存在できない」という概念を持ち込んでいる。にもかかわらず、後半のキングギドラの例はこれに真っ向から反するもので、あまりに重要なポイントのため、思わず頭を抱えてしまった。
 もうひとつ。歴史改変の影響の重大性を、これまた自分たちで激しく主張しているのに、ゴジラを消すことの影響をまったく無視していること。ゴジラを消すと日本が滅亡しなくなるのはいいとして、その結果、未来人も過去にくる必要がなくなるわけで、まあ、この辺の矛盾をひとつひとつ見ていくともうキリがないのである。
 ことほど左様に時間旅行は危険な題材なのだが、実はそんなややこしい話でなくとも、なんで恐竜をさっさと殺さないのか、そっちの方が全然手っ取り早いじゃないか、というシンプルな疑問もある。

 とにかくストーリーの胆だけに、もう少し考証はきちんとやってほしかったなぁというのが正直なところ。
 これに比べれば外国人タレントの演技があまりにひどすぎるとか、ターミネーターをパクッたような設定がひどすぎるとか、ミニチュアに比べてCG特撮のクォリティがひどすぎるとか、キングギドラのもとになる動物があまりにも玩具にしか見えないとか、核の影響で簡単にゴジラやキングギドラが生まれるってどうよとか、そういう瑕は非常に些細なことに思えてくるわけである(笑)。

 いいところもあるのだ。特にヒロインがキングギドラを未来世界で再生させ、メカキングギドラとして登場するシーンは鳥肌もの。造型も個人的には嫌いじゃない(首が少し短いのと羽根が小さいのが不満だが)。
 また、戦争や日本兵、ゴジラの関係性も宗教的意味合いが見え隠れして、これも興味深い。このサイドストーリーがなかったら、かなりつまらない作品になったはずだ。
 そして何より、SFとして勝負しようという志が買える。ま、上で腐してはいるけれど(笑)。

 結論としては、せっかくの好企画、アイディアを活かせなかった微妙な一本ということになるのだろう。でも観ていて決して退屈するようなことはない。ツッコミながら楽しんで観てください。




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