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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


大河原孝夫『ゴジラvsモスラ』

 東宝特撮映画DVDコレクションから本日は『ゴジラvsモスラ』を観る。ゴジラシリーズ第十九作、監督は大河原孝夫、1992年の作品である。

 小笠原沖に巨大隕石が落下した。その影響で海底深くに眠っていたゴジラが目覚め、南洋では嵐が発生してインファント島から謎の物体が姿を現す。
 そんな頃、トレジャーハンターの藤戸はタイで遺跡泥棒が発覚し、逮捕されてしまう。だが冒険者としての知識と腕を買われた藤戸は、無罪と引き替えにインファント島の案内を依頼される。家環境計画局職員で元妻の手塚雅子、丸友観光社長秘書の安東らとインファント島に向かった藤戸が目にしたものは、コスモスと名乗る2人組の小美人、そしてモスラの卵であった。
 小美人はバトラの復活と地球の危機を警告、それが現実となった頃、一方ではゴジラも現れ……。

 コ#12441;シ#12441;ラvsモスラ

 前作『ゴジラvsキングギドラ』では怪獣人気でもトップクラスのキングギドラを復活させたためか、かなりの興行収入を上げたという。そこで東宝は続く作品で、これまた人気の高いモスラを復活させることにした。
 当然ながら1964年の『モスラ対ゴジラ』は意識しており、環境破壊を強く押し出したストーリーにはなっている。ま、それはいいのだが、あろうことかここにインディ・ジョーンズばりのトレジャーハンターを登場させ、しかも家族愛をテーマに絡めているから、なんとも居心地の悪い作品になってしまった。
 なんというか、そういうドメスティックな興味や感動はこのシリーズには合わない。ファミリーを意識した時点で、本来、怪獣映画のもっているテーマや凄みが一切帳消しになってしまうからだ。決して小さな子供が、街を破壊している怪獣に「モスラさん」などと語りかけてはいけないのである。できれば子供は怪獣映画に登場させてほしくはないし、登場させるのであれば怪獣に遭遇した子供は泣き叫ぶ、そうでなくてはいけない。

 特撮部分は可もなく不可もなくという程度か。
 ただ、実写とCGの合成については非常にきついものがあった。海外ではその十年以上も前に『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』『エイリアン』『E.T.』『ブレードランナー』『遊星からの物体X』なんて映画ができているのになぁ。日本でも技術的には可能なはずなのに、こういうところに手を抜くというか一生懸命作らない体質がまたイヤなのだ。

 なお、怪獣の造型は好みもあるので一概にはいえないが、バトラは派手にするような要請があったということだが、全体的に色を使いすぎているせいか”軽さ”が気になった。
 空を飛ぶ怪獣なので軽いのは好都合じゃないか、という話ではなくて(笑)、存在感としての”軽さ”である。モスラのように飄々とした雰囲気があればまた話は別だが、破壊神としての存在だからなぁ。ゴジラの相手としてはやはり分が悪かろう。

 まあ、そんなこんなでシリーズ中でもなかなか厳しい一作である。モスラはそもそも扱いが難しい怪獣なのだが、ゴジラと絡めると一層それを強く感じた次第。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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