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 小金井公園の「うめまつり」を見物にいく。野点や琴演奏などが開催されているし露店も出ているから、まずまず賑やかなのだけれど、この冬の寒さで肝心の梅はほとんどがまだ蕾。梅を愛でるにはちょっと早かったようだ(苦笑)。あと十日はかかりそうなので、興味をもたれた方、ご注意ください。
 そんなわけでお好み焼きやら焼き鳥でお茶を濁して帰宅。


 読了本は鮎川哲也の短編集『謎解きの醍醐味』。同じ光文社文庫で出ている『アリバイ崩し』に続き、初期のノンシリーズ短篇からセレクトしたもの。
 収録作は以下のとおり。

「離魂病患者」
「夜の断崖」
「矛盾する足跡」
「日記」(エッセイ)
「プラスチックの塔」
「南区南太田」(エッセイ)
「塗りつぶされたページ」
「緑色の扉」
「霧笛」
「ペテン術の研鑽」(エッセイ)

 謎解きの醍醐味

 本書では『謎解きの醍醐味』というタイトルどおり、謎を解く過程に重点を置いた、いかにも本格然とした内容の作品が多い。ほとんど様式美の世界である。
 なかでも「塗りつぶされたページ」はいい。何ものかによって殺害された妻が、実は隠された過去をもっており……という展開はありがちだが、著者はそこに一捻り加え、さらに強烈なオチを添えて印象深い物語に仕上げている。本書での個人的ベスト。
 巻頭の「離魂病患者」はミステリとしてはいいレベルなのだけれど、被害者と被害者の遺族に対する描写が中途半端に踏み込みすぎて後味が悪い。探偵役だけがスカッとする物語は嫌いである。
 「緑色の扉」は珍しく産業スパイもの。被害者自らが濡れ衣をはらすために奮闘するのだが、こちらは「離魂病患者」とは逆に、犯人への追及がぬるいのが不満。ただ、これも謎解き自体は面白いので、なんとも微妙なところだ。「霧笛」のように、ゲームに徹する作品なら全然OKなんだけどなぁ。

 少し文句も書いたけれど、まあ概ね満足できる一冊。代表作はほぼ知られている鮎川作品なので、この一冊に未知の大傑作が収録されているわけではないが、もともと質が安定している作家である。どれも安心して読めるのが強みだろう。
 また、再録ものがほとんどとはいえ、親本はとっくに絶版だったりして簡単に入手できる本は少ない。アユテツファンはとりあえず買っとけ、というのが本日の結論。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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