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 エドワード・D・ホックの『サイモン・アークの事件簿III』を読む。オカルト探偵サイモン・アークものの短編集第三弾。まずは収録作から。

The Witch Is Dead「焼け死んだ魔女」
Sword for a Sinner「罪人に突き刺さった剣」
The Weapon Out of the Past「過去から飛んできたナイフ」
The Sorceress of the Sea「海の美人妖術師」
Prisoner of Zerfall「ツェルファル城から消えた囚人」
The Way Up to Hades「黄泉の国への早道」
The Virgins of Valentine「ヴァレンタインの娘たち」
The Stalker of Souls「魂の取り立て人」

 サイモン・アークの事件簿III

 サイモン・アークはサタンを求めて世界中を旅するオカルト探偵。自称なんと二千歳というわけで、その設定自体はファンタジーや幻想小説のそれである。事件もまた怪奇性を帯びたものが多いが、本当に超常的な事件はほぼ皆無であり、アークがその真相を論理的に解決するという、実はまっとうな本格ミステリなのである。
 当初は著者も、怪奇な謎が論理によって解決されるというスタイルをかなり意識していたと思うのだが、シリーズが長くなるとあまりその意味も薄れてきたせいか、後期の作品ほどわりと普通の謎解きミステリになってきたようだ。それが物足りないといえば物足りない。出来のいい作品は、やはり怪奇性と真相のギャップが見事だ。

 ところでこのシリーズも三冊目、しかも著者の自選短編集なのでだんだん出来が落ちてくるのかと思いきや、初めから三冊予定だったらしく、質的には他の二冊とそれほど大きな差はない。残念ながらオオッと仰け反るほどのものはないけれど、安定したレベルではある。
 印象に残ったのは、まず「焼け死んだ魔女」。それこそ上で書いたように、魔女の呪いという怪奇性と真相の対比が鮮やかである。雰囲気だけだったら「罪人に突き刺さった剣」も悪くないが真相が弱いのが残念。
 『海の美人妖術師』は海底から現れる人魚の種明かしが好み。もうトリックとか錯誤とかではなく、ほとんどそのまんまである(笑)。
 「黄泉の国への早道」は純粋に上手い作品。本書中ではこれがベストか。

 なお、訳者の木村氏によると、ホックのサイモン・アーク自選短編集はこの三巻目で打ち止めだったらしいが、いいものがまだ残っているということで、木村氏チョイスで第四巻が出るらしい。
 まあ、そんなことを言わずにどうせなら残りも全部出してほしいところだが(まだ2/3ほどが未訳のようだ)、もし質や売上げ云々で厳しいのであれば、ここはぜひ他のシリーズで目先を変えてもらっても大いにけっこうである(笑)。とりあえずレオポルド警視やジェフリー・ランドものはサクッと短編集が編めるだろうし、ギデオン・パロとかマイナー系もぜひ。
 期待しております。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌





ポール・ブリッツさん

>「コンピューター検察局」シリーズはいま訳されても痛々しいだけだからいらん、とつぶやいてしまうSFファン。

あれ、「コンピューター検察局」ってそんなものでしたっけ(笑)。
ま、それはともかくとして、一探偵一冊でいいから「ホック名探偵傑作選集」なんてのがあってもいいと思うわけですよ。ポケミスではそういう趣旨の短編集がありますけど、あれの選集版ですね。出たら絶対全部買うんだけどなぁ。
【2012/03/28 23:28】 URL | sugata #8Y4d93Uo[ 編集]

「コンピューター検察局」シリーズはいま訳されても痛々しいだけだからいらん、とつぶやいてしまうSFファン。

我ながらホックのファンとしてはバチ当たりかもしれん(^^;)
【2012/03/28 15:38】 URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg[ 編集]















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