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鮎川哲也『この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 1』(出版芸術社)
かつて五十年ほど前にNHKで放送されたミステリドラマ「私だけが知っている」。単なるミステリドラマにとどまらず、解答陣によるディスカッションを組み込んだそのスタイルは、「推理する」という楽しさをお茶の間に届けることに成功し、大河ドラマがスタートするまで、NHKの土曜夜の看板番組だった。
そして、その推理ドラマのシナリオを担当したのが、当時の売れっ子ミステリ作家たちであり、鮎川哲也もその一人。本日の読了本『この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 1』は、そのシナリオをまとめたものである(ちなみに他には戸板康二、夏樹静子、土屋隆夫、藤村正太、新章文子などといった面々もいたそうで、こりゃ確かに凄い面子である)。

「白樺荘事件」
「遺品」
「俄か芝居」
「悪魔の灰」
「アリバイ」
「茜荘事件」
「弓矢荘事件」
収録作は以上。まあ、結局はテレビ向けの推理クイズ番組だし、難しければいいというわけでもないから、全体的には薄味というか他愛ないものが多い。時間の制限などを考えれば物語の肉付けはどだい無理な話だから、このあたりは仕方ないところだろう。ファンには、本書を出してくれたという事実だけでも十分ありがたいのである。
それでも「俄か芝居」などはいかにもクイズめいた結構をとりながらも、意表を突いた仕掛けを用意してくれていて、短篇にノベライズしてほしかったほど出来のいい作品(いや、もしかするとされてるのかもしらんが)。さすがアユテツ、油断はできんなぁ。
ちょい気になったのは誤植の類。例えば重要人物の名前が度々間違っていたりするのはどうなんだろう。当時のシナリオが間違っているとは思うのだが、あえてそのまま残したのか、それとも? これ、素だとしたら相当に編集が杜撰なわけで、猛省してほしいレベル。
企画としては実に素晴らしい仕事なだけに残念のひと言。続巻も出るようなので、次はしっかり頼んまっせ。
そして、その推理ドラマのシナリオを担当したのが、当時の売れっ子ミステリ作家たちであり、鮎川哲也もその一人。本日の読了本『この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 1』は、そのシナリオをまとめたものである(ちなみに他には戸板康二、夏樹静子、土屋隆夫、藤村正太、新章文子などといった面々もいたそうで、こりゃ確かに凄い面子である)。

「白樺荘事件」
「遺品」
「俄か芝居」
「悪魔の灰」
「アリバイ」
「茜荘事件」
「弓矢荘事件」
収録作は以上。まあ、結局はテレビ向けの推理クイズ番組だし、難しければいいというわけでもないから、全体的には薄味というか他愛ないものが多い。時間の制限などを考えれば物語の肉付けはどだい無理な話だから、このあたりは仕方ないところだろう。ファンには、本書を出してくれたという事実だけでも十分ありがたいのである。
それでも「俄か芝居」などはいかにもクイズめいた結構をとりながらも、意表を突いた仕掛けを用意してくれていて、短篇にノベライズしてほしかったほど出来のいい作品(いや、もしかするとされてるのかもしらんが)。さすがアユテツ、油断はできんなぁ。
ちょい気になったのは誤植の類。例えば重要人物の名前が度々間違っていたりするのはどうなんだろう。当時のシナリオが間違っているとは思うのだが、あえてそのまま残したのか、それとも? これ、素だとしたら相当に編集が杜撰なわけで、猛省してほしいレベル。
企画としては実に素晴らしい仕事なだけに残念のひと言。続巻も出るようなので、次はしっかり頼んまっせ。
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