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 山本迪夫監督による「血を吸う」シリーズ第二作『呪いの館 血を吸う眼』をDVDで鑑賞。1971年の作品。
 このシリーズの大きな特徴は、何といっても西洋タイプのゴシックホラーを持ち込んだことだが、前作『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』では日本風怪談との融合が面白いテイストを生んでいたのに対し、本作はよりストレートに西洋型ゴシックホラーを再現している。

 富士見湖畔で暮らす姉妹、秋子と夏子。最近、姉の秋子は悪夢に悩まされており、一枚の絵にそのイメージを描いていた。そんなある日、隣人のボートハウスのもとへ差出人不明の柩が届けられ、その日から奇怪な事件が近隣で発生するようになる。飼い犬が惨殺され、親しかった男が急に襲いかかり、怪我もないのに異常に衰弱した患者が発見される。そして魔の手はやがて姉妹にも及び、秋子は恋人の佐伯に助けを求めるが……。

 呪いの館 血を吸う眼

 前作も良かったがこれもなかなかいい。ストーリーはシンプルで小粒な作品ではあるけれど、細かいところまで気を配られており、完成度でいえば前作を上回っている。
 この手の映画でいつも気になるのは、流れや一般的な感覚を無視した非常識な展開だ。もともと突拍子もない内容の映画だけに、できるだけ説得力をもたせることには注力してほしいのである。例えば科学的考証、異常事態を前にした人々の反応など、そういった当たり前のところが当たり前に処理されているかどうかがけっこう重要なのだ。
 本作はその点で十分合格点をあげられる。変に気を持たせない潔さのあるストーリーも幸いしているだろうが、すべからくホラー映画やモンスター映画はこうあるべきだろう。

 もちろん肝心のホラーとしての出来も鮮やかだ。ショッカー的演出がどうのとかもあるが、その最大の功労者は吸血鬼を演ずる岸田森の存在だろう。もともとこういう妖しい雰囲気をもった役者さんではあるが、真っ向から吸血鬼を演じてここまではまるとは(苦笑)。前半の静、後半の動という演技も悪くないし、ラストも熱演である。
 おっと、吸血鬼の餌食となって、自らも吸血鬼と化してしまう二人の美女も忘れてはいけない。江美早苗と桂木美加の両名だが、官能的雰囲気を醸し出して、ヒロインの藤田みどりをくってしまっている印象。ちなみに桂木美加は、『帰ってきたウルトラマン』の丘ユリ子隊員役の女優さんである。

 少しだけ残念なのは、吸血鬼の出自がざくっとラストで語られるだけで、少しわかりにくいところ。クライマックスでの展開もこれが理解できていないと面白くないし、余韻も弱くなってしまう。その点だけが惜しまれる。





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