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 ニコラス・ブレイクの『くもの巣』を読む。探偵役のナイジェル・ストレンジウェイズは登場しないノン・シリーズもの。

 田舎から出てきて帽子屋で勤めるデイジーは、あるとき配達の途中でヒューゴー・チェスターマンという青年と知り合う。無邪気で奔放すぎるところはあるが、その率直で明朗な性格に惹かれるデイジー。だがやがて知るヒューゴーの正体。彼の仕事はなんと泥棒だったのだ。
 ショックを受けるデイジーだったが、ヒューゴーを愛し続ける気持ちにはいささかの変わりもない。しかもお腹にはすでに彼の子供がいるのだ。ヒューゴーもやくざな稼業から足を洗う気持ちになりつつあるとき、警官殺害事件でヒューゴーが逮捕される……。

 くもの巣

 おお、まさかニコラス・ブレイクがこんな話を書いているとは思わなかった。まるでフランスミステリのような展開だが、やはりブレイクが書くとテイストはずいぶん違ってくる。フランスミステリだと、ヒューゴーが本当に殺人を犯したのか、果たしてデイジーはヒューゴーを救えるのか、みたいなサスペンスでじわじわ盛り上げていくところだが、ブレイクはあくまで心理描写で勝負。ヒューゴーとデイジーはもちろんだが、ここに二人を助けながら実はデイジーに思いを寄せるジャコーという医者を加えることで、物語に捻りと厚みを加えている。

 ただ、終盤で法廷ものっぽくなるのかと思っていると、まったくそんなことはなくて、普通のミステリを期待すると肩すかしを食らうので要注意。
 とはいえ、ある意味まったく予想外のラストが待っているのはそれなりに衝撃的。それを体験するだけでも本書を読む価値があると思うのだが、ううむ、こればかりは一般的ではないかもしれないなぁ。異色作ゆえブレイクファンなら、といったところか。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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