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 東宝特撮映画DVDコレクションから『モスラ』を観る。1961年の方ではなく、いわゆる平成モスラ・シリーズというやつで、1996年に公開された米田興弘監督作品。
 ゴジラがハリウッドに貸し出された関係で、その間を中継ぎするために企画されたシリーズ。とはいうものの意外に興行成績は健闘したようで、結果的には三部作となった。本作はその一作目となる。

 環境保護団体と対立しながらも、利益追求のために今日も山林開発を続ける豊国商事。その現場監督を務める後藤裕一は、北海道の森林伐採中に古代遺跡を発見、そこに埋め込まれていたメダルを娘の土産のために外してしまう。だが、そのメダルこそ、6500年前に宇宙から来訪し、植物を滅ぼして恐竜絶滅の原因を作った宇宙怪獣デスギドラを封印したメダル、実は妖精エリアス族の作った〈エリアスの盾〉であった。
 メダルを受け取った娘の前に現れたのが黒い妖精ベルベラだった。デスギドラを操るべく、エリアスの盾の力を利用しようとしたのだ。だが、そこへエリアス族の姉妹がフェアリー(小型モスラ)と共に現れ、ベルベラを阻止しようとする……。

 モスラ(1996年)

 本作を評して、怪獣映画というよりはファンタジー映画だという意見があるが誠にごもっとも。初代モスラもそういう側面は多分にあったが、この1996年版では完全に子供やファミリーを対象にした別物である。怪獣映画が本来持っていなければならない怖さはまったくないし、主人公も子供たちと妖精。怪獣と自衛隊の戦いもなし。そもそもそういう国歌組織的なものがまったく出てこない。地球レベルの危機にもかかわらず、救うのは家族レベルという始末である。

 ただ、そういうものと割り切ってみるなら、これもまあアリかなと。環境破壊を最大のテーマにしつつ、ここに家族の絆を絡め、勇気や愛の尊さを散りばめる。子供向けゆえテーマが非常にわかりやすいのは重要だ。
 また、それを表現する役者陣も悪くない。高橋ひとみや羽野晶紀、萩原流行など重要な役どころにはメジャーな役者さんを揃え、ドラマをしっかり見せるのも高ポイント。カメオ出演的ではあるが、寺尾聰まで出ているのには驚いた。
 主役の子供たちも悪くない。ただしラストのラストで「決意の強さを表現する演技(おそらく)があるのだが、これが無表情で、かえって不気味にしか見えない結果になっていたのは残念。それ以外はまずまずがんばっていただけにね。

 特撮部分では、そもそもデスギドラがキングギドラの亜流にしか見えず、明らかに手抜きとしか思えないのだがどうなんだろう?
 戦いにしても、三首竜のデスギドラとモスラ親子の対決だけに噛み合わないのはある程度予想されたが、まさに不安的中。例によってビームの撃ち合いに終始するのが残念至極(ただし、モスラの親子タッグは非常に貴重)。
 だが序盤の妖精同士が見せる家の中でのバトルレースはアイディアとして面白い。CGにもっと予算がかけられるなら、ここはより面白いシーンになったはずだ。

 という具合で、いい部分悪い部分がかなり顕著に出た本作。同時期には平成ガメラシリーズがリアルを追求して人気を博していただけに、徹底したファミリー向けファンタジーという独自路線は間違ってはいないのだろうが、ううむ、この時期に関していえば相手が悪かったか。




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