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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


鮎川哲也『この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 2』(出版芸術社)

 『この謎が解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 2』を読む。
 前作『この謎が~1』と同様、犯人当てミステリドラマ「私だけが知っている」のシナリオ集。収録作は以下のとおりだが、今回はボーナストラックとして、1959年の学習雑誌『中学コース』に掲載されたクイズ形式の短編を収録しているのが嬉しいところだ。

「おかめ・ひょっとこ・般若の面」
「翡翠のブローチ」
「制服の乙女」
「観山荘事件」
「青嵐荘事件」
「騎士と僧正」
「あなたは名探偵になれるか?」

 この謎か#12441;解けるか? 鮎川哲也からの挑戦状! 2

 前作もそうだったが、突出した作品はないけれども、アイディア一発できれいにまとめてあるのが特徴か。一般向けのわかりやすさや時間制限、映像前提といった条件によって、全体的にさらっとした印象になるのは仕方ないところ。むしろ、そういう制限の中ではよくやっているし、昨今の凝りすぎたミステリよりは遙かに好ましい。「おかめ・ひょっとこ・般若の面」「青嵐荘事件」あたりは出来も悪くなく、全体的には前作よりも面白く読めた。
 ただ、似たような話や謎の設定が多いのが少し気になった。単純に著者の好みの路線だったのか、それともミステリドラマという形式によるところが大きいのか、ちょっと判断しかねて課題状態ではある。

 最後にひとつだけ版元に注文をつけたいのだが、この装丁はもう少し何とかならなかったのか。レイアウトや色遣いにまとまりがないし、百歩譲ってそこは好みだとしても、平台、棚差しのどちらでも目立たない色遣いはない。
 正直、マニア相手の本だからコストパフォーマンスがいいわけではないし、それでも買う人は黙っていても買うのだろうが、だからこそ版元さん編集さんにはもうちょっと頑張ってほしいところである。第三集も期待しているので、ぜひ。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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