- Date: Sat 09 06 2012
- Category: ミステリアス・イベント
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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杉本一文原画展
今週は仕事がハードでろくに本も読めず、っていうか平均睡眠時間がちょっとやばい。
せめて心に少しでも潤いを、と思って今週は久々に本をたくさん買った。
ただ、購入書のラインナップをよく見ると、岡本綺堂、橫溝正史、大下宇陀児、久生十蘭、中町信といったあたりで、これらが全部新刊で買えたところが驚異。こういう古いものばかりで自分大丈夫かとも思ったが、なあに、新しいものはディーヴァー『追撃の森』、マーク・アレン・スミス『尋問請負人』といった海外勢も押さえているから、それなりにバランスはとれているのだ。って誰に説明しているのか俺は。
まあ買うばかりではあれなので、水曜日だったかに昼休みを利用して、〈杉本一文原画展〉をのぞいてきた(会社が神保町にある幸せ!)。もうネットのあちらこちらで記事があがっているので今更感満載なのだが、自分用の記録として記しておく。
ところで杉本一文といえば、もちろん角川橫溝のカバー絵でおなじみの、あの杉本一文氏である。今では文字を大きく載せただけのつまんない角川横溝のカバーだが、一昔前までは角川書店の橫溝正史といえば、すべて杉本一文の絵で統一されていた。
おどろおどろしく、それでいて妖しい美しさも備える杉本一文氏の絵にはファンも多いときく。もちろん管理人もその一人である。橫溝正史ブームに角川映画の貢献があったことは異論もないだろうが、当時、このカバー絵に魅了されて本を手にとった人も多かったのではないだろうか。
さて、〈杉本一文原画展〉である。今年は〈橫溝正史生誕百十周年記念〉ということで、角川書店が復刻カバーフェアを実施したのがそもそものようだ(フェアのページはこちら)。それと先頃リニューアルなった東京堂書店のオープニング企画という意味合いもあるみたいで、どちらサイドが持ちかけたかは知らぬが、まあ、こういう素敵なコラボ企画ならどんどんやってもらいたい。この辺、詳しいことはまったくわからないのだけれど、近隣の三省堂や書泉といった大書店でも復刻カバーがまったく見当たらなかったので、東京堂書店がいろいろと仕掛けているのかなぁと邪推中。いや、褒めてるんですよ、これは。
▼ちなみに下は東京堂書店でただで配っている記念ポストカード。

会場はホールといってもこじんまりしたもので、平日の昼間と言うこともあって、一人で貸し切り状態。ゆっくりできるはずが、いかんせん仕事中の昼休みゆえ結局は駆け足で見て回る。原画はほとんどがA4ぐらいで思ったより小さかったが、『犬神家に一族』など、一部の作品だけはかなりのサイズで描かれていたものもあった。これはおそらく映画化された作品のポスター制作のために描き直したものだろう。
しかし、当たり前のことだが原画はいい。文庫ではサイズも小さくなるし、印刷によって見えなくなる部分もあるんだよね。原画ではそういったスケール変更や印刷技術による誤差がないので、実はすごく立体的なことがわかるのである。ぺたっとした印象がなくなるというか。そういうのを原画で確認できたのがすごい収穫である。
ちなみに角川横溝は、管理人も十何年ほど前に一念発起してコンプリートし、すべて読了している。あの頃にブログやってりゃ感想をきちんと残せたのになぁとちょっと悔やまれるところである。
あ、それと今回の復刻カバーだが、復刻といいながら実はオリジナルも二点混じっている。『首』と『人面瘡』の二作がそれ。といっても中身そのものは改題や短編の再編集なので新しいものはないはず(?)だし、過去に小さいサイズでカバーに使われたことはあったからコンプリート済みであればまったく買う必要はない。まったくない。ないのだけれど、今回はフルサイズで過去作品とデザインを踏襲しており、よりコンプリート熱を煽る仕組みとなっている(笑)。まあ、しょうがないから買ったけどな。
なお、会期は6月1日(金)から6月10日(日)、要するに明日までである。最後のチャンスですぜ、だんな。
せめて心に少しでも潤いを、と思って今週は久々に本をたくさん買った。
ただ、購入書のラインナップをよく見ると、岡本綺堂、橫溝正史、大下宇陀児、久生十蘭、中町信といったあたりで、これらが全部新刊で買えたところが驚異。こういう古いものばかりで自分大丈夫かとも思ったが、なあに、新しいものはディーヴァー『追撃の森』、マーク・アレン・スミス『尋問請負人』といった海外勢も押さえているから、それなりにバランスはとれているのだ。って誰に説明しているのか俺は。
まあ買うばかりではあれなので、水曜日だったかに昼休みを利用して、〈杉本一文原画展〉をのぞいてきた(会社が神保町にある幸せ!)。もうネットのあちらこちらで記事があがっているので今更感満載なのだが、自分用の記録として記しておく。
ところで杉本一文といえば、もちろん角川橫溝のカバー絵でおなじみの、あの杉本一文氏である。今では文字を大きく載せただけのつまんない角川横溝のカバーだが、一昔前までは角川書店の橫溝正史といえば、すべて杉本一文の絵で統一されていた。
おどろおどろしく、それでいて妖しい美しさも備える杉本一文氏の絵にはファンも多いときく。もちろん管理人もその一人である。橫溝正史ブームに角川映画の貢献があったことは異論もないだろうが、当時、このカバー絵に魅了されて本を手にとった人も多かったのではないだろうか。
さて、〈杉本一文原画展〉である。今年は〈橫溝正史生誕百十周年記念〉ということで、角川書店が復刻カバーフェアを実施したのがそもそものようだ(フェアのページはこちら)。それと先頃リニューアルなった東京堂書店のオープニング企画という意味合いもあるみたいで、どちらサイドが持ちかけたかは知らぬが、まあ、こういう素敵なコラボ企画ならどんどんやってもらいたい。この辺、詳しいことはまったくわからないのだけれど、近隣の三省堂や書泉といった大書店でも復刻カバーがまったく見当たらなかったので、東京堂書店がいろいろと仕掛けているのかなぁと邪推中。いや、褒めてるんですよ、これは。
▼ちなみに下は東京堂書店でただで配っている記念ポストカード。

会場はホールといってもこじんまりしたもので、平日の昼間と言うこともあって、一人で貸し切り状態。ゆっくりできるはずが、いかんせん仕事中の昼休みゆえ結局は駆け足で見て回る。原画はほとんどがA4ぐらいで思ったより小さかったが、『犬神家に一族』など、一部の作品だけはかなりのサイズで描かれていたものもあった。これはおそらく映画化された作品のポスター制作のために描き直したものだろう。
しかし、当たり前のことだが原画はいい。文庫ではサイズも小さくなるし、印刷によって見えなくなる部分もあるんだよね。原画ではそういったスケール変更や印刷技術による誤差がないので、実はすごく立体的なことがわかるのである。ぺたっとした印象がなくなるというか。そういうのを原画で確認できたのがすごい収穫である。
ちなみに角川横溝は、管理人も十何年ほど前に一念発起してコンプリートし、すべて読了している。あの頃にブログやってりゃ感想をきちんと残せたのになぁとちょっと悔やまれるところである。
あ、それと今回の復刻カバーだが、復刻といいながら実はオリジナルも二点混じっている。『首』と『人面瘡』の二作がそれ。といっても中身そのものは改題や短編の再編集なので新しいものはないはず(?)だし、過去に小さいサイズでカバーに使われたことはあったからコンプリート済みであればまったく買う必要はない。まったくない。ないのだけれど、今回はフルサイズで過去作品とデザインを踏襲しており、よりコンプリート熱を煽る仕組みとなっている(笑)。まあ、しょうがないから買ったけどな。
なお、会期は6月1日(金)から6月10日(日)、要するに明日までである。最後のチャンスですぜ、だんな。
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>こういう地味ながら魅力的な催しがサラッと開催されるのが東京のうらやましい所です。
私は北陸の田舎町出身なんですが、確かに向こうに住んでいたら、こういう催しにはほとんど接することができなかったでしょうね。だから高校生当時、進学するときは絶対に大都市圏だと決めておりました。
ちなみに私の角川横溝の好みはベタですが、『本陣殺人事件』(女性と猫のアップのやつ)、『真珠郎』ですかね。まあ、後者はちょっと問題のある絵ではあるんですが……。