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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

スティーグ・ラーソン『ミレニアム1ドラゴンタトゥーの女(上)』(ハヤカワ文庫)

 遅まきながらスティーグ・ラーソンの『ミレニアム1ドラゴンタトゥーの女』にとりかかる。
 いうまでもなく、最近はやりの北欧ミステリの火付け役。古いところではペール・ヴァール&マイ・シューヴァル、最近ではヘニング・マンケルとか、これまでも大きく評価された北欧のミステリ作家はそれなりにいたのだが、スティーグ・ラーソンがここまでブレイクし、他の北欧作家の紹介にまで大きく影響するとは誰も予想できなかったのではないだろうか。
 もともと版元の仕掛けはけっこう強気だったけれど、映画化、文庫化、映画のリメイク、DVD化と話題が途切れなかったのも大きい。なわけで、ここにきて、ようやく管理人も読んでおこうかという気になった次第である。

 雑誌「ミレニアム」の発行責任者であり有名ジャーナリストでもあるミカエル。彼は大物実業家ヴェンネルストレムの不正行為を暴露する記事を発表したが、名誉毀損で訴えられ、有罪判決を宣告される。
 「ミレニアム」を離れる決意をしたミカエルだが、そんな彼を密かに調査する者たちがいた。大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルである。ヘンリックは弁護士フルーデを通じ、ある警備会社にミカエルの身辺調査を依頼し、リスベットという女性調査員がその任にあたった。
 ミカエルが信頼に足る人物だと確信したヘンリックは、さっそくミカエルを呼び出し、ある仕事を依頼した。内容は二つ。表向きの依頼は自伝の執筆協力、そして真の依頼は、四十年前に姿を消した孫娘ハリエットの失踪事件の調査であった……。

 ミレニアム1ドラゴンタトゥーの女(上)

 上巻まで読んだところでは、ほとんど動きらしい動きはなし。ミカエルがハリエット失踪事件の謎にとりかかってはいるが、まだ大きな糸口は掴めず。エピソードを重ねつつ、主要な登場人物の人となりを紹介するといった趣きである。やや詳細に過ぎるのではというまどろっこしさも感じないではないが、語り口は悪くなく、基本的に人物造形などはうまい。
 特に気になる人物としては、まずミカエル。著者自身がジャーナリストだったこともあって、ミカエルを著者の分身というふうにとらえるのは容易いが、むしろ著者の考えるジャーナリストの理想像と見てもいいかもしれない。
 もちろんリスベットは言うに及ばず。北欧社会の抱える問題を一心に受けもつ存在であり、彼女がどういうふうに事件に関わり活躍するのか興味津々である。その他ではセシリアというヘンリックの姪が面白い存在か。

 とりあえず本日はここまで。続きは下巻読了時に。

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Comments
 
少佐さん

お、電子書籍で出ていたんですね。私の評なんて気にしないで、どうぞお先に(笑)。
私は今日から(あ、もう昨日か)下巻に入りましたが、いやいや急に物語が動き始めて、これはいい感じですよ。期待できます。
 
シンクロニシティですね。これ私も電子書籍になったのを機に読んでみようかと紀伊國屋書店のでダウンロードしたところです。スマホで小説読むなんて味気ないかも知れませんが、電車で電書はこの上なく便利ですよ。さて私が続刊を買うかどうかはsugataさんの書評にかかってますのでどうぞよろしくお願い致します。
 
杣人・somabitoさん

コメントありがとうございます。
私は北欧に対しては、陰と陽の差が極端な国だという印象があります。福祉国家、先進的といったイメージが陽ですが、その一方では高い税金、労働力の不足、人種差別、ドラッグ問題など、むしろ陰の部分がより強烈でしょうか。
まだ上巻だけですが、それらをうかがえる描写はやはりあちらこちらに見られますね。

あまり関係ないかもしれませんが、ミカエルが収容された独房で、あまり囚人が自由なので驚きました。パソコン持ち込みOKとか何なんでしょう。
あれだと宿代わりに犯罪犯すやつが絶対出そうなんですが……。
 
sugata様、「ミレニアム」の評楽しみにしています。私には北欧社会の影が印象的ですが、我がパートナーさんは「やっぱりスエーデンだね、ボルボがいっぱい」と喜んでいました。これだけヒットしたのに作者が亡くなっているというのもミステリアスな感じを高めます。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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