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 ROM138号が届いたので、ぱらぱらと目を通す。小林晋氏の「『死の扉』前後のこと」とか森英俊氏の「Book Sleuth」とか真田啓介氏の「江戸川乱歩の「探偵小説の定義」をめぐって」とか、相変わらず濃い話や興味深い考察が目白押しで圧倒される。S・A・ドゥーセの短編掲載も嬉しいですのぅ。

 東宝特撮映画DVDコレクションから『ミカドロイド』を観る。映画ではなく、もとは「東宝シネパック」というブランドで発売されたビデオである。1991年の作品で監督は原口智生。名前程度は知っていたが、これが初見。長年気にはなっていたのだが、期待半分地雷半分という雰囲気だったので、こういう機会でもなければおそらく観なかったはずの一本である。こういう機会がどういう機会なのかは自分でもよくわからんが(笑)。

 ミカドロイド

 太平洋戦争末期のこと。旧日本軍は本土決戦に向け、「百二十四式特殊装甲兵ジンラ號」という秘密兵器を開発していた。それは不死身の肉体をもつ人造人間を造り、さらにそれを特殊装甲と各種武装で包んだ、いわば人間戦車とでもいうべき究極の殺人兵器だった。だが敗戦濃厚な日本は計画を中止、兵器は開発者や研究所もろとも処分される。
 ときは流れて1990年代。かつての研究所の真上に建設されたディスコの地下で漏電事故が発生する。そして、それが深い眠りについていたジンラ號に再び生を与えた。そんな頃、ジンラ號の目覚めに気づいた者たちがいた……。

 設定は以上のとおり、なかなか凝った設定だが、実際の物語はほとんどが追いつ追われつのサスペンス。見せ方もホラー仕立てで極めてシンプルな造りである。物語の舞台もほとんどがビルの地下にある駐車場と研究所だし、登場人物もその中に偶然に閉じ込められた二人の若者、ジンラ號、そしてジンラ號を倒そうとする二人の男という具合。
 そういった諸々の基本設計は嫌いではない。戦争の亡霊というジンラ號の意義、バブル末期という世相を反映した登場人物のバックボーンも悪くはない。個人的にはジンラ號のデザインも旧日本軍の兵器という味は十分出せていると思う。

 ただ、それでもオススメというには厳しい映画である。今あげた長所を帳消しにする短所がいろいろとあるわけで、最たるものは演出のまずさか。
 ホラー映画的盛り上げを重ねる割にはぬるい殺戮シーン、なぜかアップでしか描写してくれないメイン武器「100式短機関銃」、ラストのカギ爪の設定など、気になる点は数多い。プロローグがけっこう頑張っているだけに、本編に入ってからがいやはやなんとも。
 また、戦争兵器としての改造された男たちの悲哀、それぞれの友情のドラマが、いまひとつ伝わりにくいのも惜しい。要は説明不足なだけなのだが、クライマックスにも通ずるところだし、最も重要な部分なだけに実に残念。

 ビデオゆえ予算の問題などもあったのだろうが、素材がけっこう面白いだけにもったいないという印象ばかりが残る。それこそ映画にでもリメイクして、今の特撮技術で撮ればかなり良くなる気もするのだが。ううむ。





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