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スティーグ・ラーソン『ミレニアム2火と戯れる女(上)』(ハヤカワ文庫)
スティーグ・ラーソンの『ミレニアム2火と戯れる女』を、とりあえず上巻まで読了。
天才的ハッカーでもある警備会社の女性調査員リスベット。彼女の後見人に指名された弁護士ビュルマンは、かつてその地位を利用してリスベットを暴行したが、逆に徹底的な報復を受け、生きる気力をなくしていた。だが、ある出来事をきっかけに再びリスベットへの憎悪が燃え上がり、復讐の計画を練り始める。
そんな頃、月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルたちは、スウェーデンにはびこる人身売買問題を大々的に取りあげる決定を下していた。その企画の中心として活躍するジャーナリストのダグと恋人ミアは、調査の中で「ザラ」という謎の人物の存在を知り、さらなる調査も進めていた。
一方、長期の旅行に出ていたリスベットは、偶然ダグの調査を知り、独自に「ザラ」の調査に乗り出していく。だが、そんな彼らを狙う者たちの姿があった……。

ほほう。前作『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』は、登場人物や設定は現代的なれど、意外なほど謎解きやクラシック要素の強いオーソドックスな作品だったが、本作はガラリと趣向を変えてきている。謎解き要素は影を潜め、徹底的にストーリーの面白さとサスペンスで押す現代的な作風である。
前作では第三者的に事件に絡んだリスベットが、本作では完全に渦中の一人となり、彼女を中心に動くのも大きな変更点。キャラクターの特徴を考えれば、確かにこういうタイプの作品の方が、その魅力は最大限に活かせるだろう。
ただ、これは前作と同様の不満点だが、事件が動き出すまでの助走が長すぎである。事件そのものは上巻の終盤でようやく動き始めるのだが、そこからの展開がいいだけに、なんともバランスが悪い。書き込みが悪いわけではないのだけれど、ラーソンの場合、出てくる人出てくる組織すべてを説明しないではいられないところがある。通行人Aを通行人Aとすることに対し、我慢ができないのかも。とにかくいろいろな意味で饒舌なのである。
とはいえ、上で書いたように上巻終盤からの展開が一気に盛り上がるので、それはこの際、目をつぶろう。下巻に期待。
天才的ハッカーでもある警備会社の女性調査員リスベット。彼女の後見人に指名された弁護士ビュルマンは、かつてその地位を利用してリスベットを暴行したが、逆に徹底的な報復を受け、生きる気力をなくしていた。だが、ある出来事をきっかけに再びリスベットへの憎悪が燃え上がり、復讐の計画を練り始める。
そんな頃、月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルたちは、スウェーデンにはびこる人身売買問題を大々的に取りあげる決定を下していた。その企画の中心として活躍するジャーナリストのダグと恋人ミアは、調査の中で「ザラ」という謎の人物の存在を知り、さらなる調査も進めていた。
一方、長期の旅行に出ていたリスベットは、偶然ダグの調査を知り、独自に「ザラ」の調査に乗り出していく。だが、そんな彼らを狙う者たちの姿があった……。

ほほう。前作『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』は、登場人物や設定は現代的なれど、意外なほど謎解きやクラシック要素の強いオーソドックスな作品だったが、本作はガラリと趣向を変えてきている。謎解き要素は影を潜め、徹底的にストーリーの面白さとサスペンスで押す現代的な作風である。
前作では第三者的に事件に絡んだリスベットが、本作では完全に渦中の一人となり、彼女を中心に動くのも大きな変更点。キャラクターの特徴を考えれば、確かにこういうタイプの作品の方が、その魅力は最大限に活かせるだろう。
ただ、これは前作と同様の不満点だが、事件が動き出すまでの助走が長すぎである。事件そのものは上巻の終盤でようやく動き始めるのだが、そこからの展開がいいだけに、なんともバランスが悪い。書き込みが悪いわけではないのだけれど、ラーソンの場合、出てくる人出てくる組織すべてを説明しないではいられないところがある。通行人Aを通行人Aとすることに対し、我慢ができないのかも。とにかくいろいろな意味で饒舌なのである。
とはいえ、上で書いたように上巻終盤からの展開が一気に盛り上がるので、それはこの際、目をつぶろう。下巻に期待。
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