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アントニイ・バークリー『シシリーは消えた』(原書房)
ようやく任天堂のDS-liteをゲットする。色は選ぶ余地もなくクリスタルホワイト。ソフトは『テトリスDS』やら『どうぶつの森』やら色々とほしいものはあるのだが、ますます本が読めなくなる危険性があるため、ちょっと我慢。とりあえず娯楽のためのみにゲームを買っているのではないと自分をごまかすため、『楽引辞典2』と『英語漬け』を買うことにする。いわゆるエデュケーションソフトだ。といってもこれが十分ゲーム並に楽しかったりする罠。
ところがいざ物を探すとどうやら売り切れのようではないか。そこまでバカ売れするほどのタイトルではないのだが……ううむ、おそらく同じような思考回路で購入している私のようなおっさんが多いのであろう。
アントニイ・バークリーの『シシリーは消えた』読了。
久々のバークリーだが、これで未読は『プリーストリー氏の問題』だけか。ただ、買ってはあるのだがどこに行ったかわからないんだよなぁ『プリーストリー氏の問題』。まあいいや。『シシリーは消えた』はこんな話。
主人公は遺産で悠々自適の生活を送ってきたスティーヴン・マンローという青年。ところがとうとう遺産を使い果たしてしまい、これまでずっと勤めてもらっていた執事をも解雇し、あらたにケアリー家の従僕となって働くことを決意する。ところがその勤務初日、ケアリー家には学友やガールフレンドまでが来客として現れ、スティーヴンの素性はたちまち知れ渡ってしまう。そんな一日の締めは心霊術の催しだった。来客の一人であるスティーヴンの学友、フレディが、人を消す呪文があるので試してみようというのだ。来客が揃う中、部屋の出口が閉ざされ、照明が落とされた。そして奇怪な現象が立て続けに起こる中、シシリーという女性が本当に部屋から消失してしまう……。
ノン・シリーズで比較的初期の作品ということもあるのだろうが、バークリーの本領が全面的に発揮された作品とはいえないだろう。もちろん密室からの人間消失という魅力的な謎はあるが、仕掛けはそれほどのものではなく、さほどの驚きはない。
むしろ本作は解説にもあるとおり、どちらかといえば、主人公の活躍(探偵役&ロマンス)を楽しむ冒険小説、ユーモア小説というふうにとらえた方がよいのだろう。とりわけ高等遊民だった主人公が従僕に落ちぶれながらも、自らの活躍で新たな地位をゲットするという筋書きは、ありきたりだけれども意外なほど面白く読める。また、本格ではないにせよ、後のバークリーを彷彿とさせるミステリ的エッセンスは十分に感じられるので、ファンならとりあえず読んでおいて損はないだろう。
ところがいざ物を探すとどうやら売り切れのようではないか。そこまでバカ売れするほどのタイトルではないのだが……ううむ、おそらく同じような思考回路で購入している私のようなおっさんが多いのであろう。
アントニイ・バークリーの『シシリーは消えた』読了。
久々のバークリーだが、これで未読は『プリーストリー氏の問題』だけか。ただ、買ってはあるのだがどこに行ったかわからないんだよなぁ『プリーストリー氏の問題』。まあいいや。『シシリーは消えた』はこんな話。
主人公は遺産で悠々自適の生活を送ってきたスティーヴン・マンローという青年。ところがとうとう遺産を使い果たしてしまい、これまでずっと勤めてもらっていた執事をも解雇し、あらたにケアリー家の従僕となって働くことを決意する。ところがその勤務初日、ケアリー家には学友やガールフレンドまでが来客として現れ、スティーヴンの素性はたちまち知れ渡ってしまう。そんな一日の締めは心霊術の催しだった。来客の一人であるスティーヴンの学友、フレディが、人を消す呪文があるので試してみようというのだ。来客が揃う中、部屋の出口が閉ざされ、照明が落とされた。そして奇怪な現象が立て続けに起こる中、シシリーという女性が本当に部屋から消失してしまう……。
ノン・シリーズで比較的初期の作品ということもあるのだろうが、バークリーの本領が全面的に発揮された作品とはいえないだろう。もちろん密室からの人間消失という魅力的な謎はあるが、仕掛けはそれほどのものではなく、さほどの驚きはない。
むしろ本作は解説にもあるとおり、どちらかといえば、主人公の活躍(探偵役&ロマンス)を楽しむ冒険小説、ユーモア小説というふうにとらえた方がよいのだろう。とりわけ高等遊民だった主人公が従僕に落ちぶれながらも、自らの活躍で新たな地位をゲットするという筋書きは、ありきたりだけれども意外なほど面白く読める。また、本格ではないにせよ、後のバークリーを彷彿とさせるミステリ的エッセンスは十分に感じられるので、ファンならとりあえず読んでおいて損はないだろう。
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