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 ジョン・ボーランドの『紳士同盟』を読む。先日読んだ『5枚のカード』同様、これもお懐かしやの「ポケミス名画座」からの一冊。

 かつて名を馳せた英国軍の将校たちがいた。だがそれぞれ事情は異なるが、みな不名誉な理由によって除隊の憂き目にあった者たちばかり。今では冴えない生活を送る毎日だった。そんな彼らのもとに一通の封筒が届く。中には半分に切りとられた紙幣、一冊の犯罪小説、そして翌日曜日にロンドンへ出頭すべしという内容の手紙が同封されていた。
 不振に思いながらもロンドンのとあるカフェへ集合した面々は総勢九名。そこで待っていたヘムリングソン元少佐は、彼らに銀行強盗を提案する……。

 紳士同盟

 クラシックな犯罪小説という趣。捻った設定やどんでん返しの連発はないけれど、なんでもかんでも詰め込んだ最近のボリューム過多の作品に飽きた向きにはちょうどいい。特技をもった男たち、周到なる準備、緻密に練られた銀行強盗計画。途中途中で予想外の障害に見舞われながらも、彼らは成功を信じて前へ進む。その先に待つものは栄光か挫折か? シンプルながらそれなりに引っ張る力はある。

 ちょっと面白いと思ったのは、この強盗チームを仕切る主人公が、実に人間臭いところである。この手のストーリーなら主犯格の男は絶対的なリーダーシップを発揮するものだが、彼は計画が皆に認められたといっては喜び、説得できなかったといっては落ち込む。ときには仲間に助けも乞う。
 どうやら著者はあえて弱い人間に設定した節があるのだが、これは主人公に限らず、実はその他のメンバーにも当てはまる。彼らは元将校ではあるのだが、全員がすねに疵もつ身であり、負け犬の集団である。通常の物語なら、この負け犬たちが最後のプライドを見せる展開なのだろうが、本作では彼らはあくまで負け犬のままである。その安っぽい男たちのやりとりこそが逆に本書の読みどころといえるのだろう。
 ただ、惜しむらくは登場人物の描き方があまりに足りない。主人公はともかく、他のメンバーの設定が中途半端で、語りきらないうちに終わった印象である。ここがしっかりしていればオススメだったのだが。

 なお、解説によると、映画版は趣がかなり異なるらしく、それこそ上で書いたような安っぽい男たちではなく、最後の意地を見せる男たちの物語になっているらしい。ううむ、そうなると映画版を観ておきたいところだが、DVDになってるのかしら?


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌




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