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ドン・チャフィ『アルゴ探検隊の大冒険』
加えて、人間技とは思えない、その鍛え抜かれた技術やパワーを見るのも単純に惹きつけられる。もちろん国際大会やオリンピックなどでは、日本が頑張れば素直に嬉しい。
オリンピックを楽しんでいる人に対し、普段は興味ないくせにとか俄ファンとか、たまに批判めいたことをいう人がいるが、あれは何なんだろう。スポーツの本質をわかってないどころか、物事の楽しみ方すらわからないんだろうな。
というような枕とはまったく関係なく、本日はDVDでドン・チャフィ監督の『アルゴ探検隊の大冒険』を視聴する。公開は1963年。特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンが絡んでおり、今では古典と言ってもいいだろう。管理人が子供の頃はテレビでしょっちゅう再放送していた作品である。
ストーリーはギリシャ神話で有名なアルゴナウタイの冒険を映画化したもの。古代テッサリアの王子ジェイソンは、奪われた父の王国を取り戻すため、女神ヘラの助力を得て、神の贈り物といわれる「黄金の羊の毛皮」を手に入れようとする。目的地コルテスを目指し、ジェイソンは勇者を募って帆船「アルゴ号」で航海に出るが、その前には様々な困難が……。

物語そのものは「黄金の羊の毛皮」を入手したところでハッピーエンド。おいおい、父の国を取り戻すという使命はどうなったんだというツッコミはごもっともだが、正直この映画にストーリーはどうでもよい(笑)。本作にはハリーハウゼン特撮のエッセンスが詰まっており、それがすべてでの映画なのだ。日本の特撮で用いられる着ぐるみによる手法とは異なり、ハリーハウゼンのそれはコマ撮りという、これまた独自の世界で表現される。
CGの発達によって今ではすたれつつあるこの技術だが、コマ撮りのカクカクした動きが逆に本作ではいい味を出しており、とりわけ青銅の巨人テイロスや骸骨剣士の動きには非常にマッチしているから面白い。また、それに合わせた役者の動きも実に自然で恐れ入る。
実際のギリシャ神話との異同がゴロゴロ出てくるので、原典に詳しい人はちょっとイライラするかもしれないが、それもご愛嬌。ハリーハウゼンはあくまで商業用娯楽作品を目指していたのであり、冒険ファンタジー作品として見事に結実している。特撮ファンならずとも一度は観ておいて損はない。
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Comments
Sugataさん、今晩は。
昨晩に続き今夜もテッペン越え。どうやら明日も厳しそうです。
とりあえず、一線を超えない程度にやるだけです(泣)。
そうでした、同じ沿線でしたね。
私全くのアルコールは不調法と来てまして(笑)、宴会でももっぱら食事担当という感じですが、いつかどこかのタイミングで。
Posted at 02:25 on 08 16, 2012 by ksbc
ksbcさん
>あれ、そのへんお知らせしてませんでしたか。
一応、映像関連の仕事をしております。メインは展示映像というやつを作っております。
初耳ですw そうなんですね。海外出張とかも多そうでしたし、どういうお仕事か気になってたんですよね。面白そうですが、ブログやTwittreを拝見していると、なかなか大変そうですね。お体に気をつけてがんばってください。
同じ沿線ですし(でしたよね?)、機会があればぜひ飲み会でもいずれ。
Posted at 01:08 on 08 15, 2012 by sugata
お知らせしてませんでしたか
あれ、そのへんお知らせしてませんでしたか。
一応、映像関連の仕事をしております。メインは展示映像というやつを作っております。
まあ、昔は特撮でしたが、今はもっぱらCGに置き換わってしまって、現場の醍醐味は薄くなりました。
いくつになっても楽にならないことに参っております(笑)。
Posted at 00:56 on 08 15, 2012 by ksbc
ksbcさん
>これも今の仕事につながった作品のひとつであることは間違いないところです。
ええ? それは気になる発言ですね。特撮映画の影響で現在のお仕事に就いたんですか? どういうお仕事なのかこれは気になります。
Posted at 00:23 on 08 14, 2012 by sugata
こころの名作?
Sugataさん、こんにちは。
私もテレビで何度も見ました。
この人形アニメーションは、今となってはギャグともとれる動きですが、こども心に当時はこんな特撮をやりたいと思ったもんです。
これも今の仕事につながった作品のひとつであることは間違いないところです。
こころの名作?といったところでしょうか…。
まだまだ暑い日が続きそうです。ご自愛下さいませ。
Posted at 11:22 on 08 13, 2012 by ksbc
くさのまさん
>骸骨剣士って地面にちゃんと竜の歯を撒いて、そこから生まれるんですよね。
骸骨剣士が登場するまでにけっこうな段取りがいるのですが、それをちゃんと待っている主人公たち、というのもご愛嬌ですw
>クイーンの『ドラゴンの歯』もこれの事ですね
あああー、そういえばそうでした。覚えていればブログのネタに入れたのにw 教えてくれて感謝です。
Posted at 19:43 on 08 11, 2012 by sugata
骸骨剣士~。
私も子供の頃にテレビで観ました。当時は気付かなかったのですが、骸骨剣士って地面にちゃんと竜の歯を撒いて、そこから生まれるんですよね。ファンタジーもので知ってはいましたが、映像で観たのはこの1回だけです(クイーンの『ドラゴンの歯』もこれの事ですね)。
Posted at 19:19 on 08 11, 2012 by くさのま
cadソフトフリー研究者さん
そうそう、稚拙な誤審も無気力試合もそれを楽しめばいいんです。いいプレイには喝采を送り、無気力試合には真剣に怒る。低レベルな審判にはしらけちゃってもいいんです。
ただ、スポーツに興味がない人に、何でもかんでも否定されたくはないんですよね。いろいろな問題点を抱えてはいますが、やはりその価値は大きいです。仕事でも遊びでも、否定しかできない人間は困ったチャンでしかありません。
Posted at 21:48 on 08 06, 2012 by sugata
個人的には、国威発揚のためのメダル獲得競争レースにあまり関心が向かなくなったので、とても気楽にオリンピックを観戦できています。
おっしゃる通り、稚拙な誤審も無気力試合もすべてオリンピックの構成要素なのだと思えば、そう目くじらを立てる必要もないのかもしれませんね。
Posted at 07:05 on 08 06, 2012 by cadソフトフリー研究者
ポール・ブリッツさん
オリンピックについては、競技としての側面、ビジネスとしての側面、それぞれの思惑は仕方ないと思います。国の面子、競技者の人生、皆さん、それぞれにいろいろと背負ってますからね。それを同じ土俵でぶつけあうことで、またいろいろな問題が生まれてくることが面白かったり、わずらわしかったりするわけです。
だから私は、反則も無気力試合も審判もセコい作戦も日本のメダルも、実はそれがオリンピックの自然な姿だと思って見ています。
まあ、オリンピックに限らず、私たちの普段の仕事だって根っこは同じだと思うんですが。
Posted at 18:56 on 08 05, 2012 by sugata
ksbcさん
昔は一週間連続てっぺん越えでも平気でしたが、最近は体に応えるので滅多にしなくなりました。まずは体が大事ですから、ksbcさんもあまり無茶なさらずに。
食事担当、全然OKです。飲みは私が引き受けます。そういや飲みでは、今でも普通にてっぺん越えをやってしまいますが、ううむ、目的が違うとこうも体調も変わるものでしょうか(苦笑)
Posted at 00:20 on 08 17, 2012 by sugata