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 本日もレイ・ハリーハウゼン縛りで『地球へ2千万マイル』を鑑賞。監督はネイサン・ジュランで、ハリーハウゼンは特撮と原案に関与している。ハリーハウゼンの代表作として有名だが、残念なことに日本公開はされず(本国では1957年公開)、ビデオ発売がされるまでは永らく名のみ知られる作品だった。

 金星探査から帰ってきたロケットがイタリア沖に不時着した。ほとんどのクルーが命を落とす中、指揮官の大佐と科学者だけが漁師たちに救助される。その騒ぎの最中、地元の少年が海岸で不思議な壜を入手する。中には卵らしきものが入っていたが、少年は小遣いほしさにそれを獣医に売り、やがて中からは隊長20cmほどの奇妙な生物が孵化した。
 実はその生物は、金星という過酷な環境で生きていられる秘密を調査するため、金星探査隊が持ち帰ったものであった。しかし、地球と金星の環境の違いから生物は急速に成長し、巨大化を遂げる。米軍はイタリア政府の強力のもと、いったんは捕獲に成功したものの、生物は再び逃げ出し、ローマの町を恐怖に陥れる……。

 地球へ2千万マイル

 おお、これはまた噂どおりしっかりした出来映えではありませんか。ゴリラとワニを合わせたような金星竜イーマの描写がまずいい。今ではCGで何でもできるだろうが、当時のコマ撮りという技術で、ここまでイーマの細かな仕草を表現できるのかという驚き。眩しくて手で顔をおおうとか、威嚇、痛みの表現など、正に人形に魂が吹き込まれている感じである。クライマックス近くの象との対決シーンもお見事。
 イーマの描写が優れていることで、テーマがしっかり強調されるのもよい。イーマそのものは自ら暴れ回るわけではなく、人間はおろか仔羊すら襲わない(なんせ主食は硫黄である)。それを人間たちの勝手な都合で捕獲しようとするから、イーマは抵抗するしかないのである。
 生きる時代と場所を間違えた生物の悲劇。要するに本作は、ハリーハウゼンの『キングコング』へのオマージュでもあるのだ。

 個人的に、怪獣映画は怪獣が登場するまでが肝心であり、平行して語られる人間ドラマが重要だと思っているのだが、そちらはまずまずといったところ。イーマの処理をめぐって米政府とイタリア政府の意見が衝突する展開など、見るべきところもあるのだが、恋愛要素はかなり余計だなぁ。舞台のせいもあって、出来の悪い『ローマの休日』かと(苦笑)。
 本作はやはり特撮がすべて。その特撮をたっぷりと味わう映画であろう。




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