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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

北村龍平『ゴジラ FINAL WARS』

 夏休み明けの仕事がたまっている上に、仕事絡みの飲み会も立て続けに入って読書が停滞中。いま手をつけているのが少々大物なので何とか今週中に読めればいいのだが、たぶん無理(苦笑)。


 リーチがかかっていた「東宝特撮映画DVDコレクション」をさっさとあがっておこうと思い、『ゴジラ FINAL WARS』を観る。監督は北村龍平で2004年の公開。ミレニアムゴジラシリーズ六作目にしてゴジラシリーズ通算二十八作目、そして現時点でのゴジラシリーズ最終作である。

 基本的に個々が完全に独立した作品であるミレニアムゴジラシリーズだが、本作は舞台を近未来20XX年にもってきた。世界中の核実験や戦争により眠っていた怪獣が次々と目をさまし、これに対抗するため国連は地球防衛軍を結成したという設定。何となくゴジラというよりはウルトラマンシリーズ的だがまあそれは許容範囲。
 本作ではさらにプラスαとして「ミュータント」という要素をもってきた。他の人類より身体能力の優れた新人類、そして彼らによる特殊部隊「M機関」が怪獣たちと戦うというもの。ううむ、ここまでくると微妙(苦笑)。
 さて、そんな地球へやってきたのがX星人。彼らは暴れる怪獣たちをたちまち消し去り、地球と友好を結びたいという。当然ながらこれは嘘八百で、X星人は人類を家畜として用いるために地球征服を企てていたのだ。しかし、M機関や科学者たちの活躍でX星人の陰謀が明らかになる。
 さあ、怒るX星人。彼らはM機関のほとんどの隊員を洗脳し、さらには消した怪獣を一気に出現させる。地球は未曾有の危機を迎えたのである。残った者たちは最後の秘策として、かつて南極の氷塊に閉じ込めたゴジラを放ち、怪獣に対抗させようとする……。

 ゴジラ FINAL WARS

 この作品を観るのは二回目だが、ゴジラシリーズをひととおり観たうえで観なおせば、また違った感想が出てくるかとも思ったが、いや、これはやっぱりひどいや(笑)。
 ポイントはいくつかあるが、最後のゴジラ作品ということで、登場する怪獣や兵器、キャストに至るまで総登場という趣なのが何といっても一番か。ヘドラやエビラ、キングシーサーなどというレアどころの怪獣も登場するし、ジラ(ハリウッド版ゴジラ)まで出すんだものなぁ。役者さんも水野久美、佐原健二、宝田明など往年の東宝特撮を彩った方々がちゃんとした役で出演しているのも嬉しい。小ネタも怪獣ファン、ゴジラファンが思わず頬を緩ませるようなものも多い。
 じゃあ、何がダメなんだということになるのだが、つまりそれ以外が全部ダメ(笑)。往年のファンが喜びそうなネタを仕込んでいるのに、設定は逆にお子様向けだし、結局誰に向けて作っているのかが見えない始末。
 おまけに演技も相当な出来である。重鎮はノープロブレムなのだが、メインどころが酷い(なんせ格闘技の選手とか重要な役どころで使いすぎ。いや菊川怜なんてプロパーだけど酷いし)。
 まあ、これが過去作と比べて特別ひどいわけではないし、むしろ暇つぶしのためと割り切れば楽しめる部分もなくはないのだけれど、ラストでこれをやってくれるかという気持ちである。

 ともかく、ようやくこれで「東宝特撮映画DVDコレクション」をコンプリート視聴できた。
 定期購読を始めて、第一巻の『ゴジラ』が届いたのが2009年の10月。二年ほどで全五十五巻が発売されるはずだったが、おそろしいことに途中で六十五巻まで延長されることになり、結局すべてを見終えるまでに三年弱もかかってしまった。初期の未見マイナー作品はもちろんだが、こちらが年をくってからの作品はさすがに観ていないものが多くて、それらをまとめて消化できたのは嬉しいかぎり。
 ちなみに東宝ゴジラは休止状態だが、ハリウッド版は第二弾が控えており、ぼちぼち海外からニュースも伝わっている。まだまだ特撮熱は冷めそうにもないなぁ。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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