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 北欧ミステリが矢継ぎ早に出版される今日この頃、本日はケーブルテレビのVODで、ノルウェー産のファンタジー映画を視聴してみた。2010年公開(日本では2012年)、アンドレ・ウーヴレダル監督の『トロール・ハンター』である。

 こんな話。熊の密猟事件をドキュメンタリー映画に撮ろうと調査する三人の学生たち。彼らは取材のさなかに浮上したハンスという密漁容疑者をインタビューすべく、その後を追う。ところが深夜の山中で巨大な何ものかに襲撃され、危ういところをハンスに助けられる。ハンスの話では、襲撃した「何か」は北欧の伝説に残る妖精トロールであり、自分は政府に依頼されてトロールを処分するトロール・ハンターなのだという。
 だがハンスは政府のトロールに対する扱いに疑問をもっており、トロールの存在を公表すべく、学生たちに取材の許可を与える。すっきりしないままに取材を続ける学生たちだったが、やがて彼らの前にトロールが姿を現して……。

 まず言っておかなければならないのは、本作が擬似ドキュメンタリーの手法をとっていること。いわゆるモキュメンタリーというやつで、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』、『パラノーマル・アクティビティ』といったところが有名どころ。もちろんすべて架空の物語ではあるが、あくまで事実を伝えるドキュメンタリー風に見せるのがキモ。
 ただ、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』あたりは本当にそれらしいテーマでそれらしく撮っているが、本作の場合はなんせ「トロールが実在した」という突拍子もないネタなので、あくまでシリアスな雰囲気作りのためと考えた方がいいだろう。

 このシリアスさを求めての、設定や見せ方がなかなかいい。
 トロールと言えばゲームやファンタジー小説でもおなじみの妖精orモンスターの類ではあるが、本作では実在する肉食性哺乳類という扱い。民間人を襲わないよう政府がコントロールして、生活圏に入ってきたものだけを処分する。テリトリーからトロールが出ないよう、山中にある送電線が実はトロールの侵入を防いでいるとか、家畜にみせかけた羊や牛が実はトロールのための餌だとか。まあ、熊みたいなものですか。
 さすがに単なる哺乳類ではなく、寿命は1000年程度、知能は低いが大きなものは体長60mにも達するというから、ひとたび凶暴化すれば危険極まりない。ただし 紫外線に弱く、体内でカルシウムを生成できないとか、紫外線を浴びると若いトロールは血管にガスがたまり爆発するとか、高齢のトロールは身体が骨化して石のようになって死ぬとか、まあ、いろいろと考えている。
 残念なところも少なくない。ここまでシリアス志向でいきながら、なぜかトロールはキリスト教徒の臭いを嗅ぎつけると襲い掛かってくるし、そもそもノルウェー政府はなぜトロールの存在を隠蔽する必要があるのかとか、ハンターはなぜ一人しかいないのだとか、雑な設定もちらほら。

 とはいえ全体的には許せる範囲で(まあ、真面目にやるほど笑えるという側面は否めないが)、特撮もまずまず。
 モキュメンタリーはともすれば観客置いてきぼりの「なんじゃそれ」という結末や展開も多いけれど、本作はハンスのトロール・ハントが軸になっており、オーソドックスな怪獣映画の結構にしっかり沿った形だからカタルシスも十分。管理人のような怪獣映画ファンには、それなりに魅力的な一本でありました。





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