- Date: Tue 23 10 2012
- Category: 映画・DVD SF・ファンタジー
- Community: テーマ "特撮・SF・ファンタジー映画" ジャンル "映画"
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マシュー・ヴォーン『キック・アス』
その評判を聞きつけてからもう一年以上も経ってしまったが、ようやくこの目で見ることができた映画がある。『キック・アス』だ。マシュー・ヴォーン監督による2010年公開の一本。
寡聞にしてロードショーには間に合わなかったが、とにかくネット上では絶賛の嵐。せめてDVDで拝見しようと思っていたら、残念ながら日本ではTSUTAYA限定レンタル。近所に大きなTSUTAYAがない身としては、何となく見逃したままになっていたのだが。
ここ最近、再びネット上で目にする『キック・アス』の話題。なんと今度は続編が出るというではないか。これはそろそろ潮時かなというわけで、Amazonに注文した次第である。
こんな話。
主人公のデイヴは、コミックのスーパーヒーローに憧れるハイティーン。あるとき自分もヒーローになろうと決心し、ネットで買ったウェットスーツを身につけ、ヒーロー活動を開始する。その名も「キック・アス」。
だが、彼はもちろん何の特殊能力も持たない並の人間。あっさりと街のチンピラにナイフで刺され、おまけに車にはねられて重傷を負う。それでも懲りずヒーロー活動を続けるデイブ。しかし三人組に襲われていた男を不格好ながら救った彼を、見物人が撮影してネットに流したことで、キック・アスは瞬く間に話題を呼び、人気を集めることになる。
そんなある日、ガールフレンドが麻薬密売人に悩まされていることを知ったデイブ。彼はキック・アスとして売人がいるアパートに乗り込んだが、案の定ピンチに陥る。そこへ現れたのが、デイブと同じようにヒーローコスチュームを着た少女ヒット・ガールだった。まだ11才くらいの子供にしか見えない彼女だが、瞬く間に売人たちを皆殺しにする。
彼女は母親を自殺に追い込んだ犯罪組織を壊滅させるため、父のビッグ・ダディに格闘術を仕込まれた殺し屋顔負けの腕をもつ少女だったのだ。
だが、売人たちを殺したのがキック・アスであると勘違いした犯罪組織のボスは、部下にキックアスを殺すよう命じるのだった……。

うむ、噂どおり。実に面白い。
冴えないオタク青年がヒーローに憧れ、たくましく成長するメインストーリーは王道なれど、普通の成長物語とは明らかに一線を画す。もちろんただのヒーローものでもない。
ヒーローとは何か、正義とは何か、そういったありがちなテーマをとことんブラックなスタイルとユーモアで問い詰めてゆく、極めてスタイリッシュで骨太な映画なのである。
だから描写にほとんど手加減はない。子供が次々と人を殺すことに嫌悪感をもつ方がいるのはわかるが、それを普通のアクションで表現してしまっては、このメッセージは伝わらない。少女がニコニコ笑いながら銃で人を撃つ。正義感はあるが腕っ節の弱い青年が、カツ上げをされ、ナイフで刺され、大けがを負う。人々は暴力に対し見て見ぬ振りをする。スタイルは過激ながら、正義についてガシガシ掘り下げていくのだ。
ヒーローものにおける徹底したリアリティの追求という点も光る。そういう意味では、テイストは大きく異なるけれど『ダークナイト』や『ウォッチメン』と根底に流れるものは共通している。
ただ、『ウォッチメン』などがあくまでシリアスに語る部分を、『キック・アス』はデイブの視点を通じ、笑いも交えて見せてゆく。ビッグ・ダディとヒット・ガールは一見ヒーローでありながら、実は私怨に駆られるだけの危ない連中。紛い物ヒーロー、つまりは一般人デイブの目を通すことで、そんなヒーロー像の危うさが浮かび上がるという寸法である。いやいやキック・アス自身だって有名になるにしたがい、当初の志の高さがどんどん薄れていくのだ。これまでのヒーロー物では触れられなかった、そんなリアルなヒーロー像が描かれる。いわばメタヒーローものといってもよい。
もちろん単純にアクションのかっこよさ、ヒット・ガール演じるクロエ・グレース・モレッツに萌えるのもまたよし。
キックアスの奮闘にほろっとくる場面もあるが、やはり一番の見どころはヒット・ガールのアクションの数々である。世間的には二丁拳銃のシーンを好まれる方も多いようだが、管理人的には麻薬密売人をあっという間に薙刀?で片付けるヒット・ガール初登場のシーンがピカイチ。
ちなみに続編は2013年6月28日から全米公開が決まっているとのこと。日本公開がどれだけずれこむかはわからないが、これは見逃せません。
寡聞にしてロードショーには間に合わなかったが、とにかくネット上では絶賛の嵐。せめてDVDで拝見しようと思っていたら、残念ながら日本ではTSUTAYA限定レンタル。近所に大きなTSUTAYAがない身としては、何となく見逃したままになっていたのだが。
ここ最近、再びネット上で目にする『キック・アス』の話題。なんと今度は続編が出るというではないか。これはそろそろ潮時かなというわけで、Amazonに注文した次第である。
こんな話。
主人公のデイヴは、コミックのスーパーヒーローに憧れるハイティーン。あるとき自分もヒーローになろうと決心し、ネットで買ったウェットスーツを身につけ、ヒーロー活動を開始する。その名も「キック・アス」。
だが、彼はもちろん何の特殊能力も持たない並の人間。あっさりと街のチンピラにナイフで刺され、おまけに車にはねられて重傷を負う。それでも懲りずヒーロー活動を続けるデイブ。しかし三人組に襲われていた男を不格好ながら救った彼を、見物人が撮影してネットに流したことで、キック・アスは瞬く間に話題を呼び、人気を集めることになる。
そんなある日、ガールフレンドが麻薬密売人に悩まされていることを知ったデイブ。彼はキック・アスとして売人がいるアパートに乗り込んだが、案の定ピンチに陥る。そこへ現れたのが、デイブと同じようにヒーローコスチュームを着た少女ヒット・ガールだった。まだ11才くらいの子供にしか見えない彼女だが、瞬く間に売人たちを皆殺しにする。
彼女は母親を自殺に追い込んだ犯罪組織を壊滅させるため、父のビッグ・ダディに格闘術を仕込まれた殺し屋顔負けの腕をもつ少女だったのだ。
だが、売人たちを殺したのがキック・アスであると勘違いした犯罪組織のボスは、部下にキックアスを殺すよう命じるのだった……。

うむ、噂どおり。実に面白い。
冴えないオタク青年がヒーローに憧れ、たくましく成長するメインストーリーは王道なれど、普通の成長物語とは明らかに一線を画す。もちろんただのヒーローものでもない。
ヒーローとは何か、正義とは何か、そういったありがちなテーマをとことんブラックなスタイルとユーモアで問い詰めてゆく、極めてスタイリッシュで骨太な映画なのである。
だから描写にほとんど手加減はない。子供が次々と人を殺すことに嫌悪感をもつ方がいるのはわかるが、それを普通のアクションで表現してしまっては、このメッセージは伝わらない。少女がニコニコ笑いながら銃で人を撃つ。正義感はあるが腕っ節の弱い青年が、カツ上げをされ、ナイフで刺され、大けがを負う。人々は暴力に対し見て見ぬ振りをする。スタイルは過激ながら、正義についてガシガシ掘り下げていくのだ。
ヒーローものにおける徹底したリアリティの追求という点も光る。そういう意味では、テイストは大きく異なるけれど『ダークナイト』や『ウォッチメン』と根底に流れるものは共通している。
ただ、『ウォッチメン』などがあくまでシリアスに語る部分を、『キック・アス』はデイブの視点を通じ、笑いも交えて見せてゆく。ビッグ・ダディとヒット・ガールは一見ヒーローでありながら、実は私怨に駆られるだけの危ない連中。紛い物ヒーロー、つまりは一般人デイブの目を通すことで、そんなヒーロー像の危うさが浮かび上がるという寸法である。いやいやキック・アス自身だって有名になるにしたがい、当初の志の高さがどんどん薄れていくのだ。これまでのヒーロー物では触れられなかった、そんなリアルなヒーロー像が描かれる。いわばメタヒーローものといってもよい。
もちろん単純にアクションのかっこよさ、ヒット・ガール演じるクロエ・グレース・モレッツに萌えるのもまたよし。
キックアスの奮闘にほろっとくる場面もあるが、やはり一番の見どころはヒット・ガールのアクションの数々である。世間的には二丁拳銃のシーンを好まれる方も多いようだが、管理人的には麻薬密売人をあっという間に薙刀?で片付けるヒット・ガール初登場のシーンがピカイチ。
ちなみに続編は2013年6月28日から全米公開が決まっているとのこと。日本公開がどれだけずれこむかはわからないが、これは見逃せません。
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おお、まさか杣人さんから『キック・アス』のコメントがいただけるとは思いませんでした。一見、バカ映画ですが、なかなか考えられて作られていると思いますので、機会がありましたら、ぜひお試し下さい。