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 1970年に公開(日本は1971年)されたビリー・ワイルダー監督による映画『シャーロック・ホームズの冒険』を観る。
 もともとは四つのエピソードを盛り込んだ四時間近い超大作として撮られたが、公開にあたって二時間ほどに編集されたという曰く付きの一本。その際、エピソードも削られ、謎の美女とネス湖の怪物を中心とした話にまとめられたという。

 ストーリーは完全オリジナルである。ホームズの私生活に深く関わるため、当時未発表だったエピソードが、ワトスンの死後50年を経て公開されたという設定で、物語は幕を開ける。
 さて舞台は変わって19世紀末のロンドン。あるときホームズはロシアのバレリーナから強引な求婚を受けてしまうが、ワトスンと同性愛の関係にあるからと偽って逃れることに成功する。ワトソンは自分の名誉が汚されたと激怒するが……といったところがプロローグ。ここでホームズとワトソンの生活ぶりが楽しめるわけで、本筋はここから。
 ある日、彼らのもとに記憶喪失の女性が運び込まれる。やがて記憶を取り戻した女性ガブリエルの依頼で、ホームズは彼女の夫を探し始めるが、そんな彼らの前にホームズの兄マイクロフトが現れ、調査の中止を勧告する……。

 シャーロック・ホームズの冒険

 ロバート・スティーブンス演じるホームズの造型は悪くないが、個性が弱いか。やや冷たさに欠けるというか、それなりに雰囲気は出ているけれど物足りなさは残る。本筋とは関係ないが化粧が濃いのもちょい気になった(苦笑)。
 一方のワトソンはコリン・ブレークリーが演じており、こちらはえらくお調子者。一般に定着しているまぬけなワトソン像もどうかと思うが、こっちも微妙だ。
 それでも二人とも一応は基本に忠実にやっている感じではあるので、これはこれでありだろう。むしろ記憶喪失の女性ガブリエルが、どことなくアイリーン・アドラーを思わせる雰囲気でかなりよい。後のホームズもの映画やテレビにけっこう影響しているのではないだろうか。

 内容の方はといえば、ビリー・ワイルダーらしいコメディ色の強いものだが、ホームズ譚のポイントはきっちりと押さえているうえ、ミステリー映画としても予想以上に伏線や推理の部分が効いており、個人的には非常に楽しめた。
 謎解きのシーン、ホームズとワトソンの関係、コカインやバイオリンなどお馴染みの小道具の使い方、マイクロフト(なんとクリストファー・リーが演じている)の登場、当時の街並みや221Bの部屋の雰囲気、どれもこれもがいい感じ。目新しさはないが、どうすればファンが楽しめるかがわかっている。
 おすすめ。


テーマ:ミステリー・サスペンス - ジャンル:映画




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