- Date: Sat 19 01 2013
- Category: 評論・エッセイ 鷲巣義明
- Community: テーマ "評論集" ジャンル "本・雑誌"
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鷲巣義明『ジョン・カーペンター 恐怖の倫理』(洋泉社)
鷲巣義明の『ジョン・カーペンター 恐怖の倫理』を読む。『遊星からの物体X』や『ハロウィン』等のホラー映画で知られる映画監督ジョン・カーペンターの魅力に迫ったガイドブック。

洋泉社から出ている『映画秘宝』のムックは面白い企画が多いが、これは『映画秘宝ディレクターズ・ファイル』と銘打たれたシリーズで、監督に焦点を当てたストレート真っ向勝負。ただし、大御所や巨匠を選ぶのではなく、わざわざジョン・カーペンターをセレクトするところが流石というか無謀というか(笑)。
そもそもジョン・カーペンターといっても、一般にどの程度の知名度があるのか。『遊星からの物体X』あたりはまだ有名だろうが、基本的にはB級映画ばかりだから、その名前や作品をスラスラ言える人なんて相当なホラーマニアかSFマニアぐらいだろう。その人気はあくまでカルトであり、映画そのものの出来も正直、玉石混淆という方が正しい。そんなジョン・カーペンターで一冊作ってしまうのだから洋泉社は偉い。特撮好きの管理人としてもこれはやはり見逃せない。
中身のほうはけっこうな充実ぶりである。全監督作の紹介はもちろんTV作品や未映像化作品、ターニングポイントとなる作品にはびっしりと解説やインタビューを詰め込んでおり、例によってレイアウトは少々ダサイが(苦笑)内容は盛りだくさん。
私見だが、ジョン・カーペンターの魅力は、世の中を支配する万物の法則の一面だけを切り取り、その一つのエピソードによるインパクトでもって勝負しているところにあると思っている。すべてを説明することはないが、観る者にストレートにイメージを叩きつけていく。その積み重ねで真実が見える。
喩えるならカーペンターの作品は短編小説なのである。ともすると陳腐に見える場合や、逆に意味不明の場合もあったりするが、その創作における姿勢は終始一貫しておりまったくブレがない。それもまた魅力のひとつである。
なお、本書のテキストはすべてが書き下ろしというわけではなく、再録もいくらかあるようだ。その際の整合性がとれていないところがいくつかあるのは残念だが、まあ、個人的には概ね満足のいく一冊であった。洋泉社さんにはこのノリで他の監督もどんどん出してもらいたい。

洋泉社から出ている『映画秘宝』のムックは面白い企画が多いが、これは『映画秘宝ディレクターズ・ファイル』と銘打たれたシリーズで、監督に焦点を当てたストレート真っ向勝負。ただし、大御所や巨匠を選ぶのではなく、わざわざジョン・カーペンターをセレクトするところが流石というか無謀というか(笑)。
そもそもジョン・カーペンターといっても、一般にどの程度の知名度があるのか。『遊星からの物体X』あたりはまだ有名だろうが、基本的にはB級映画ばかりだから、その名前や作品をスラスラ言える人なんて相当なホラーマニアかSFマニアぐらいだろう。その人気はあくまでカルトであり、映画そのものの出来も正直、玉石混淆という方が正しい。そんなジョン・カーペンターで一冊作ってしまうのだから洋泉社は偉い。特撮好きの管理人としてもこれはやはり見逃せない。
中身のほうはけっこうな充実ぶりである。全監督作の紹介はもちろんTV作品や未映像化作品、ターニングポイントとなる作品にはびっしりと解説やインタビューを詰め込んでおり、例によってレイアウトは少々ダサイが(苦笑)内容は盛りだくさん。
私見だが、ジョン・カーペンターの魅力は、世の中を支配する万物の法則の一面だけを切り取り、その一つのエピソードによるインパクトでもって勝負しているところにあると思っている。すべてを説明することはないが、観る者にストレートにイメージを叩きつけていく。その積み重ねで真実が見える。
喩えるならカーペンターの作品は短編小説なのである。ともすると陳腐に見える場合や、逆に意味不明の場合もあったりするが、その創作における姿勢は終始一貫しておりまったくブレがない。それもまた魅力のひとつである。
なお、本書のテキストはすべてが書き下ろしというわけではなく、再録もいくらかあるようだ。その際の整合性がとれていないところがいくつかあるのは残念だが、まあ、個人的には概ね満足のいく一冊であった。洋泉社さんにはこのノリで他の監督もどんどん出してもらいたい。