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 今月号の『ミステリマガジン』は007特集。映画便乗ではあるのだろうが、これがなかなか力の入った特集で読ませる読ませる。特にウンベルト・エーコの評論は面白かった。
 惜しむらくは、007の成功を受けて登場したライバルたちの紹介もあればよかった。また、これから読もう観ようという人のための作品リストは簡単でいいからやはりほしかったかな。

 そんなわけで久々に007欲求が高まり、買い置きしてあるアシェット・コレクションズ・ジャパンの007シリーズを掘り出してくる。このアシェット・コレクションズ・ジャパン版DVDは『007 ドクター・ノオ』から『007 慰めの報酬』までの二十二作品をデジタルリマスターしたコレクション。買ったはいいが、例によって積んだままなかなか観るきっかけがなかったので、ちょうどいいタイミングである。


 さて、何を観ようか迷うまでもなく、ここは順番に行くべしと一作目の『007 ドクター・ノオ』。1962年公開で監督はテレンス・ヤング。公開時の邦題は『007は殺しの番号』。

 こんな話。1962年、東西が冷戦状態にあるなか、アメリカは月面ロケット計画を進めていたが、発射を妨害する怪電波に悩まされていた。アメリカの依頼でイギリス諜報部はジャマイカに諜報部員を潜入させ、妨害電波を阻止する工作にあたる。しかし諜報部員は秘書もろとも消息を絶ち、諜報部は捜査のため、殺しのライセンスをもつ007号ジェームズ・ボンドを派遣する。ボンドはCIAらと協力して捜査を進めるが、やがて現地のものすら近寄らないという謎の島「クラブ・キー」の存在に目をつけた。

 007ドクター・ノオ

 おお、久々に古い007を観たが今でも十分面白いではないか。一応は冷戦を背景にしているものの、その精神は徹底的な娯楽性にある。深刻な現実を忘れさせてくれる、どことなく優雅で脳天気なスパイアクションは、正に観客の求めるところ。大人のための紙芝居と揶揄もされたが、エンターテインメントを純粋に求めたこのシリーズにとって「大人のための紙芝居」はむしろ褒め言葉であろう。
 さすがに時代故、CGは見劣りがするし、アクションもおとなしい。秘密兵器もないしボンドカーもまだ登場しない。だが、銃やクルマ、アクション、お色気と、その後の作品に脈々と受け継がれる見どころの原型はきっちりと押さえている。
 そして、それを体現してゆく初代ボンドのショーン・コネリーがまたいい。現役ボンドのダニエル・クレイグもかなりいいが、コネリーのボンドには大人の色気や優雅さがある。ストイックさとは無縁の、日本人がイメージするヒーローとはまったく異なるヒーロー像。これにみな痺れたわけで、日本人には逆立ちしても出せない”味”なんだよなぁ。
 シナリオ的には放射能の扱いなど、いかがなものかという点もあるけれど、記念すべき007シリーズの第一作。固いことはいわず、コネリーボンドの魅力に酔いしれるのが吉。


テーマ:ミステリー・サスペンス - ジャンル:映画




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