- Date: Sat 30 03 2013
- Category: 海外作家 ラム(ジョン・J)
- Community: テーマ "推理小説・ミステリー" ジャンル "本・雑誌"
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ジョン・J・ラム『偽りのアンティークベア事件』(創元推理文庫)
ジョン・J・ラムのおしどり探偵シリーズ『偽りのアンティークベア事件』を読む。
怪我のために強盗殺人課を引退した元刑事ブラッドリー・ライオン。テディベア作家の妻アシュリー。こよなくテディベアを愛する二人が、レメルケンプという架空の町を舞台に活躍する様を描くミステリー。他にもシングルマザーの保安官ティナや元ソ連のスパイという経歴をもつ飲み屋の主人セルゲイなど魅力的なレギュラーを揃え、基本的にはキャラクターで読ませるタイプのシリーズである。
本作では二人の家に泥棒が入るところから幕を開ける。泥棒は貴重なアンティークベアを盗んで逃走したが、大した手がかりもなく数週間が過ぎていった。
そんなときレメルケンプに日本のヤクザが現れる。ブラッドリーはたまたまヤクザが地元の歴史博物館を訪ねていくことを知り、不審に思ってあとをつける。そして博物館で見たものは、巨大な食器戸棚の下敷きになった館長の姿であった……。

上で書いたように、本シリーズの魅力はキャラクターによるところが大きい。本作でもレギュラー陣以外に、日本人ヤクザがいい味を出している。なんせこのヤクザ、趣味がテディベア収集であり、手下には投資のためと偽ってせっせとテディベアを買い集める。ブラッドリーと対決するまもなくベア談議に花が咲くところは何ともいえない可笑しみがある。テディベア蘊蓄も日本に関係したネタが多く、テディベアファンには嬉しいところだろう。
一方のレギュラー陣ではティナとセルゲイのロマンスが生まれそうな気配があったり、シリーズファンへのサービスも忘れてはいない。
もちろん事件の骨子が頼りなくては、いくらキャラクターが良くてもオススメしにくいのだが、本作ではオーソドックスな警察小説のスタイルをきちんと踏まえており、ミステリとしての破綻はない。これでもう少しサプライズの要素が強ければと思うのだが、まあ、この手のミステリにそれを望んでも仕方ないか。
とりあえず前作『天使のテディベア事件』がいまひとつだっただけにひと安心。ただ気になるのは次作がサンフランシスコを舞台にしているところだ。前作もそうだったのだが、せっかくのシリーズの流れを分断するような展開はどうなんだろう。ちょっともったいないね。
怪我のために強盗殺人課を引退した元刑事ブラッドリー・ライオン。テディベア作家の妻アシュリー。こよなくテディベアを愛する二人が、レメルケンプという架空の町を舞台に活躍する様を描くミステリー。他にもシングルマザーの保安官ティナや元ソ連のスパイという経歴をもつ飲み屋の主人セルゲイなど魅力的なレギュラーを揃え、基本的にはキャラクターで読ませるタイプのシリーズである。
本作では二人の家に泥棒が入るところから幕を開ける。泥棒は貴重なアンティークベアを盗んで逃走したが、大した手がかりもなく数週間が過ぎていった。
そんなときレメルケンプに日本のヤクザが現れる。ブラッドリーはたまたまヤクザが地元の歴史博物館を訪ねていくことを知り、不審に思ってあとをつける。そして博物館で見たものは、巨大な食器戸棚の下敷きになった館長の姿であった……。

上で書いたように、本シリーズの魅力はキャラクターによるところが大きい。本作でもレギュラー陣以外に、日本人ヤクザがいい味を出している。なんせこのヤクザ、趣味がテディベア収集であり、手下には投資のためと偽ってせっせとテディベアを買い集める。ブラッドリーと対決するまもなくベア談議に花が咲くところは何ともいえない可笑しみがある。テディベア蘊蓄も日本に関係したネタが多く、テディベアファンには嬉しいところだろう。
一方のレギュラー陣ではティナとセルゲイのロマンスが生まれそうな気配があったり、シリーズファンへのサービスも忘れてはいない。
もちろん事件の骨子が頼りなくては、いくらキャラクターが良くてもオススメしにくいのだが、本作ではオーソドックスな警察小説のスタイルをきちんと踏まえており、ミステリとしての破綻はない。これでもう少しサプライズの要素が強ければと思うのだが、まあ、この手のミステリにそれを望んでも仕方ないか。
とりあえず前作『天使のテディベア事件』がいまひとつだっただけにひと安心。ただ気になるのは次作がサンフランシスコを舞台にしているところだ。前作もそうだったのだが、せっかくのシリーズの流れを分断するような展開はどうなんだろう。ちょっともったいないね。
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