- Date: Sun 31 03 2013
- Category: 評論・エッセイ 若狭邦男
- Community: テーマ "評論集" ジャンル "本・雑誌"
- Response: Comment 10 Trackback 0
若狭邦男『探偵作家発見100』(日本古書通信社)
以前にコメントでおっさん様から教えていただいた『狩久全集』。それがいよいよ一般販売されたというニュースをとあるサイトで目にしたのは二週間ほど前。で、一分ほど迷ったものの、こういうブログをやっている身としては、やはりこれは買うしかあるまいと発売元にメールを送ったのが一週間前。そして本日、それが無事に到着した。本当はもっと早く着いていたのだけれど、不在だったために結局、本日届けてもらうことになったのだが、いや、その二日間の待ち遠しかったこと。
お値段もそこそこかかってしまったが、これで現時点で判明している狩久作品が全部読めるわけだし、絶対読めないと思っていた幻の遺稿、さらには日記まで収録しているのだからお買い得といってよい。あの杉本画伯の手掛けたイラストも雰囲気十分で、所有する喜びもひとしお。
仕事がいろいろとてんばっているので、これはまたとないストレス解消になりそうだわ(笑)。
若狭邦男氏の『探偵作家発見100』を読む。

『探偵作家追跡』『探偵作家尋訪』に続く一冊で、数々の探偵小説誌や大衆小説誌、カストリ雑誌などを元に、幻の作家たちの足跡を辿っている。ただ、ドキュメンタリー仕立てではなく書肆データの性格が強い。とにかく情報の量や濃さが半端ではなく、自分がいかに浅い探偵小説好きかを痛感させてくれる一冊でもある。
なんせ、そこらの探偵小説のガイドブックをどれだけ逆さにして振ってみても、まったく出てこないような名前ばかりが並んでいるわけで(ま、中には割にメジャーな作家もいて、その方々まで幻の作家云々はちょっとアレだけれども)、どんだけこの道が奥深いのかということである。本書では取り上げている作家もこれまでより多く、作家という観点だけでなく探偵小説史という観点からも貴重な資料になるのではないだろうか。
ただ、これだけ素晴らしい内容ながら、実は残念なところもないではない。それが文章のわかりにくさ。ネット上の感想を見る限りでもそこを指摘する人は多く、確かにそのとおり。また、資料性の高い内容をテキストのアキや改行、箇条書きだけで見せようとするので、本としての読みにくさもある。
実はこの欠点は『探偵作家追跡』の頃から目についていた部分。『探偵作家追跡』の感想でも書いたが、著者のお仕事はおそらく著述業ではないはずだから、そこは編集者側でフォローするべきであろう。それがなかなか改善されないのはつくづく残念だ。
とはいえディープな探偵小説ファンには間違いなく買いの一冊。いずれはこの本を参考にして、書かれている作家をすべて読んでみたいものだが、果たしていつになるやら。
お値段もそこそこかかってしまったが、これで現時点で判明している狩久作品が全部読めるわけだし、絶対読めないと思っていた幻の遺稿、さらには日記まで収録しているのだからお買い得といってよい。あの杉本画伯の手掛けたイラストも雰囲気十分で、所有する喜びもひとしお。
仕事がいろいろとてんばっているので、これはまたとないストレス解消になりそうだわ(笑)。
若狭邦男氏の『探偵作家発見100』を読む。

『探偵作家追跡』『探偵作家尋訪』に続く一冊で、数々の探偵小説誌や大衆小説誌、カストリ雑誌などを元に、幻の作家たちの足跡を辿っている。ただ、ドキュメンタリー仕立てではなく書肆データの性格が強い。とにかく情報の量や濃さが半端ではなく、自分がいかに浅い探偵小説好きかを痛感させてくれる一冊でもある。
なんせ、そこらの探偵小説のガイドブックをどれだけ逆さにして振ってみても、まったく出てこないような名前ばかりが並んでいるわけで(ま、中には割にメジャーな作家もいて、その方々まで幻の作家云々はちょっとアレだけれども)、どんだけこの道が奥深いのかということである。本書では取り上げている作家もこれまでより多く、作家という観点だけでなく探偵小説史という観点からも貴重な資料になるのではないだろうか。
ただ、これだけ素晴らしい内容ながら、実は残念なところもないではない。それが文章のわかりにくさ。ネット上の感想を見る限りでもそこを指摘する人は多く、確かにそのとおり。また、資料性の高い内容をテキストのアキや改行、箇条書きだけで見せようとするので、本としての読みにくさもある。
実はこの欠点は『探偵作家追跡』の頃から目についていた部分。『探偵作家追跡』の感想でも書いたが、著者のお仕事はおそらく著述業ではないはずだから、そこは編集者側でフォローするべきであろう。それがなかなか改善されないのはつくづく残念だ。
とはいえディープな探偵小説ファンには間違いなく買いの一冊。いずれはこの本を参考にして、書かれている作家をすべて読んでみたいものだが、果たしていつになるやら。
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>第1巻と第2巻にまたがる場合があることから、第2巻に、あわせてつける予定です。
あ、一巻二巻共通の索引なんですか。だったらいいですね。
期待しております!