- Date: Sat 11 05 2013
- Category: 映画・DVD SF・ファンタジー
- Community: テーマ "特撮・SF・ファンタジー映画" ジャンル "映画"
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ティモ・ブオレンソラ『アイアン・スカイ』
ゴールデンウィークの後半あたりからしばらく更新が滞ってしまった。いろいろと原因はあるが、とにかく間隔を空けるとよけい再開が難しくなるので、とりあえずこの週末に観たDVDの感想をアップしておこう。
ものはティモ・ブオレンソラ監督によるSF映画『アイアン・スカイ』。昨年に公開された映画だが、資金の一部を映画ファンからの寄付によって賄うとか、珍しくフィンランド/ドイツ/オーストラリアの三国による合作だとか(メインはフィンドランドのようだ)、何より月からナチスが攻めてくるというぶっとんだ内容などもあって、マニア方面ではいろいろと話題になった作品である。
こんな話。西暦2018年。ときのアメリカ大統領は選挙キャンペーンの一環として、四十六年ぶりに月の裏側へアフリカ系アメリカ人のモデル、ジェームズ・ワシントンを派遣する。ところが月の裏側では、かつて第二次大戦のベルリン崩落時に月へと脱出したナチスが移住し、地球征服計画を着々と進めていた。
捕らえられたジェームズ・ワシントンは、地球研究学者のレナーテの助力もあって命は救われたが、彼の持っていたスマートフォンが地球侵略の最終兵器「神々の黄昏」号に利用されることになる。しかし、試験中にバッテリーが切れて試運転は失敗。そこで月面親衛隊准将クラウス・アドラーはコーツフライシュ総統に対し、地球でのスマートフォン調達任務を志願する。
クラウスはジェームズ・ワシントンを案内役として地球に潜入したが、なんと宇宙船にはレナーテも密航。仕方なく三人で行動する羽目になるが、ジェームズが大統領選キャンペーンの責任者、ヴィヴィアンを巻き込んだことで、事態はさらにとんでもないことに……。
見どころは何といっても政治風刺ネタの数々。メインはもちろんナチスなのだけれど、それに負けじ劣らず現在のアメリカも実は同じようなものなのだという主張である。ちなみにアメリカ大統領の名前は出てこないのだけれど、これが何かとお騒がせのアラスカ州知事、サラ・ペイリンとそっくりなのがまた笑える。
加えてフィンランドのような小国からすれば、それ以外の国々も似たようなもので、ロシアや中国、インド、日本、北朝鮮までもきちんと俎上に上げられている。利権をめぐる政治構造と政治家をとにかく痛烈に茶化しているのが気持ちよい。
有名映画のパロディシーンも多いし、EDロールの最後の最後まで風刺が詰まっているのもサービス精神というか悪ふざけが強くてマル。この手の映画はこうでなくては。
よりディープなSF系マニアや軍事系マニアの方々には、ナチスドイツ軍風の意匠を凝らしたレトロ感満載の各種宇宙兵器の類は要注目。特に飛行船を模した宇宙空母はなかなかであったが、その一方で序盤に登場するアメリカ宇宙飛行士の宇宙服がえらくチープだったりして、お金のかけどころが非常にわかりやすい映画でもある(笑)。
ううむ、けっこう褒めてしまったが、逆にこれで期待してついつい観てしまう人がいるかもしれない。これはあくまでB級作品、お馬鹿映画なので念のため。
かっこよく言えばSFブラックコメディと呼んでも差し支えないのだが、なんせストーリーが上に書いたとおり。SFマニアや軍事マニアが酒の席で思いついた与太話をそのまま物語にしたレベルであって、科学的考証などは八割方無視されているし、ストーリー展開もコントレベルといってよい。
そのくせミリタリーマニアや映画ファンのためのくすぐり、政治風刺はとにかく徹底的。笑いのつぼもきちんと押さえているので、管理人は非常に楽しめたが、まあ、ナチスが月で秘密基地を作っていたという設定をくだらないと思う人は最初からスルーするのが正解である(笑)。
ものはティモ・ブオレンソラ監督によるSF映画『アイアン・スカイ』。昨年に公開された映画だが、資金の一部を映画ファンからの寄付によって賄うとか、珍しくフィンランド/ドイツ/オーストラリアの三国による合作だとか(メインはフィンドランドのようだ)、何より月からナチスが攻めてくるというぶっとんだ内容などもあって、マニア方面ではいろいろと話題になった作品である。
こんな話。西暦2018年。ときのアメリカ大統領は選挙キャンペーンの一環として、四十六年ぶりに月の裏側へアフリカ系アメリカ人のモデル、ジェームズ・ワシントンを派遣する。ところが月の裏側では、かつて第二次大戦のベルリン崩落時に月へと脱出したナチスが移住し、地球征服計画を着々と進めていた。
捕らえられたジェームズ・ワシントンは、地球研究学者のレナーテの助力もあって命は救われたが、彼の持っていたスマートフォンが地球侵略の最終兵器「神々の黄昏」号に利用されることになる。しかし、試験中にバッテリーが切れて試運転は失敗。そこで月面親衛隊准将クラウス・アドラーはコーツフライシュ総統に対し、地球でのスマートフォン調達任務を志願する。
クラウスはジェームズ・ワシントンを案内役として地球に潜入したが、なんと宇宙船にはレナーテも密航。仕方なく三人で行動する羽目になるが、ジェームズが大統領選キャンペーンの責任者、ヴィヴィアンを巻き込んだことで、事態はさらにとんでもないことに……。
見どころは何といっても政治風刺ネタの数々。メインはもちろんナチスなのだけれど、それに負けじ劣らず現在のアメリカも実は同じようなものなのだという主張である。ちなみにアメリカ大統領の名前は出てこないのだけれど、これが何かとお騒がせのアラスカ州知事、サラ・ペイリンとそっくりなのがまた笑える。
加えてフィンランドのような小国からすれば、それ以外の国々も似たようなもので、ロシアや中国、インド、日本、北朝鮮までもきちんと俎上に上げられている。利権をめぐる政治構造と政治家をとにかく痛烈に茶化しているのが気持ちよい。
有名映画のパロディシーンも多いし、EDロールの最後の最後まで風刺が詰まっているのもサービス精神というか悪ふざけが強くてマル。この手の映画はこうでなくては。
よりディープなSF系マニアや軍事系マニアの方々には、ナチスドイツ軍風の意匠を凝らしたレトロ感満載の各種宇宙兵器の類は要注目。特に飛行船を模した宇宙空母はなかなかであったが、その一方で序盤に登場するアメリカ宇宙飛行士の宇宙服がえらくチープだったりして、お金のかけどころが非常にわかりやすい映画でもある(笑)。
ううむ、けっこう褒めてしまったが、逆にこれで期待してついつい観てしまう人がいるかもしれない。これはあくまでB級作品、お馬鹿映画なので念のため。
かっこよく言えばSFブラックコメディと呼んでも差し支えないのだが、なんせストーリーが上に書いたとおり。SFマニアや軍事マニアが酒の席で思いついた与太話をそのまま物語にしたレベルであって、科学的考証などは八割方無視されているし、ストーリー展開もコントレベルといってよい。
そのくせミリタリーマニアや映画ファンのためのくすぐり、政治風刺はとにかく徹底的。笑いのつぼもきちんと押さえているので、管理人は非常に楽しめたが、まあ、ナチスが月で秘密基地を作っていたという設定をくだらないと思う人は最初からスルーするのが正解である(笑)。
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お、劇場で観たとはさすが!
でも映画館ではそんなに反応が悪かったんですか? ギャグそのものはけっこうベタなのも多かったし、十分笑えると思うんですけどね。内容がいい加減すぎるというなら、まだわかりますが(笑)。