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 『秘書綺譚』を読んだせいかクラシックなホラー映画が観たくなって、買い置きのDVDを引っ張り出す。『秘書綺譚』が人狼ものなので、当然ここは『狼男』。1941年に公開された古典中の古典。監督はジョージ・ワグナー、主役を演ずるは、これが当たり役となって、ユニバーサル映画で都合五作で狼男を演じることになったロン・チェイニーJrである。

 長男の不慮の死によって、ウェールズの名家タルボット家を継ぐことになった次男ローレンス。数十年ぶりに里帰りを果たすやいなや骨董品店の娘グエンを見初め、その友人ジェニーと三人でジプシー占い師ベラを訪ねることになる。
 ところがベラは狼男であり、ジェニーは帰り道で狼に化身したベラに襲われてしまう。ジェニーを救おうとしたローレンスは銀のステッキによって狼を倒すが、自分もまた狼に咬まれ……。

 狼男

 とても1941年の作品とは思えない完成度の高さ。本作を観るのはもう何度目ぐらいかになるのだけれど、いつも感心してしまう。
 狼男はドラキュラやフランケンシュタインなどと違って原作がなく、完全なオリジナル作品。ヨーロッパに伝わる民間伝承などをもとに起こした脚本なのだが、これが実によくできている。そもそも向こうの伝承にありがちなのだが、けっこう設定というかルール作りがしっかりしており(苦笑)、それがプロットに効果的に活かされている。狼男の弱点や行動原理などがちゃんと作中で説明され、伏線などもきちんとしているから、ミステリー好きが観てもけっこうしっくりくるのである。
 屋外シーンのスタジオ感が強いのはさすがに致し方ないけれど、意外なほどのテンポの良さ、ロン・チェイニーJrの演技の確かさ、単なる怪奇ものではなく二重人格という現代的な解釈や人狼の苦悩などを絡めて奥行きをもたせるなど、見るべきところは多い。

 ちなみにベラ役は『魔人ドラキュラ』でブレイクしたベラ・ルゴシ、ローレンスの父親は『透明人間』のクロード・レインズが演じている。とんでもないキャストだ(笑)。





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