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 またまたコロンボ消化。シリーズ通算五十三作目の『新・刑事コロンボ/かみさんよ、安らかに』。監督はヴィンセント・マケヴィティ。

 新・刑事コロンボ/かみさんよ、安らかに

 シリーズ作品の楽しみのひとつとして一種の様式美があり、だからこそ逆にパターンを裏切る楽しみというものもある。
 コロンボも然り。勧善懲悪倒叙推理という確固たるスタイルをとりながら、ときには犯人を明かさないままストーリーが進行したり、コロンボに一度は完敗を味わわせたり、コロンボに逮捕をさせなかったり等々。
 制作者がマンネリに陥らないよう工夫をしている部分でもあるし、様式美を利用した視聴者へのトリックともいえる場合もある。ただ、コロンボに関していうと、失礼ながら意外に失敗しているケースが多いかも(笑)。

 まあ、それはともかくとして。本作『かみさんよ、安らかに』もまた異色という点ではシリーズ中でもトップクラスであろう。なんせ冒頭いきなりコロンボのかみさんの葬儀で幕を開けるのである。そして悲しみに暮れるコロンボを憎しみの目で見つめる謎の女。
 実は彼女こそ本作の犯人役。かつて殺人罪でコロンボに逮捕され、獄死した夫の恨みを晴らすべく、コロンボにも自分と同じ苦しみを与えるための所業だったのである。しかもコロンボに接近するため、夫を裏切った現在の自分の上司をまず殺害するという凝りよう。
 葬儀のシーンから過去を振り返る形で物語は進み、ラストは再び葬儀のシーンへ。そしてコロンボの逆トリックが炸裂するという案配で物語は決着する。

 何といってもコロンボとその家族が犯人の標的になるという点、さらにはそれを利用した逆トリック、回想という形で進むストーリーなど、意欲的な作品であることは間違いなく、十分に楽しめる作品。

 難を挙げるとすれば、犯人の目的があくまで復讐であり、しかも精神を病んでいるということか。これがコロンボ最大の魅力である犯人との知的対決という部分において緊張感を危うくしており、加えて後味が悪い。コロンボの逆トリックにひっかかった犯人が最後にコロンボの顔を平手打ちする場面があるけれど、これも上記の理由によって犯人の悲しみや悔しさがいまひとつ伝わらないのが残念。
 ただ、コロンボがかみさんに電話をするラストシーンで、そんなもどかしさもきれいに払拭してくれるのが救い。電話とはいえ、ここまでコロンボとかみさんのやりとりを見せたことはないんじゃないかな。

 意外に世評は高くないようだけれど、個人的には満足。


テーマ:刑事コロンボ - ジャンル:映画




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