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ガイ・ハミルトン『007 黄金銃を持つ男』
ROMの140号が届く。主宰の加瀬義雄さんが亡くなったため、これが加瀬さん編集の最終号ということになる。本号の「事務局便り」でドクターストップにより144号で終決の旨が書かれており、この時点で既にだいぶ体調を崩されていたことがわかる。本号、心して読ませていただきます。
訃報絡みでもうひとつ。新・刑事コロンボで吹き替えを務めていた石田太郎さんが亡くなったらしい。ニュースはこちら。
ドラマの収録中に倒れたということで、これは何とも痛ましい。心よりご冥福をお祈りいたします。
なんだか気が滅入るニュースばかりなので、スカッとした映画でも観ようとDVDで007を引っ張り出す。ものは『007 黄金銃を持つ男』。映画シリーズとしては第九作で1974年の公開。監督はおなじみガイ・ハミルトン。
英国秘密情報部のもとに「007」の文字が刻まれた黄金の銃弾が届く。黄金の銃とは、殺し屋フランシスコ・スカラマンガの代名詞でもあり、その物騒な贈り物はジェームズ・ボンドへの殺害予告と思われた。折しもボンドは太陽エネルギー装置にまつわる任務に就いていたが、スカラマンガのために任務を外されてしまう。
任務に復帰するため、ボンドはまずスカラマンガの脅威を排除すべく、銃弾の製造主を訪ねてマカオへ向かった。

世評はいたって低い本作。十数年ぶりにあらためて見直してみても、確かにいろいろと問題点は多い。ロジャー・ムーアのスタイルがまだ確立されていない点は仕方ないにしても、社会性の希薄さ、スケールの小ささ、秘密兵器やアクションの物足りなさなどなど、これまでのシリーズ作を上回る部分はほとんどないといってよい。
ただ、実は個人的にはこの作品、嫌いではない。全体的なユルさや妙に劇画化されたキャラクターの存在感が、意外なほどいまの時代にあっているというか。
シリーズ中でも無類のドジッ娘ぶりを発揮するボンドガール、ブリット・エクランド。スカラマンガの忠実な部下でありながら遺産を虎視眈々と狙う小人のニック・ナックを演じるエルヴェ・ヴィルシェーズ。そして前作でも登場したアメリカのペッパー保安官役のクリフトン・ジェームズ。こんなにお笑い担当を揃えてどうするといった布陣である。下手をすると007のセルフパロディかと勘違いしそうな設定であり演出なのだが、全体的なトーンは統一されているから破綻もなく、ちゃんと楽しめてしまう(苦笑)。
もちろん御大クリストファー・リーを忘れてはいけない。存在感はさすがに圧倒的で本作一番の見どころだが、彼もまた世界をこの手になどと考えているわりに、ボンドと正々堂々戦うことにこだわって妙な墓穴を掘るという始末。
思えば007シリーズだと考えるからみな腹も立つわけで、上で書いたようにシリーズのパロディとして見ればこれはこれであり。コメディ要素だけではないが、この各種マイナスポイントをどこまで笑えるかがが分かれ目か。
訃報絡みでもうひとつ。新・刑事コロンボで吹き替えを務めていた石田太郎さんが亡くなったらしい。ニュースはこちら。
ドラマの収録中に倒れたということで、これは何とも痛ましい。心よりご冥福をお祈りいたします。
なんだか気が滅入るニュースばかりなので、スカッとした映画でも観ようとDVDで007を引っ張り出す。ものは『007 黄金銃を持つ男』。映画シリーズとしては第九作で1974年の公開。監督はおなじみガイ・ハミルトン。
英国秘密情報部のもとに「007」の文字が刻まれた黄金の銃弾が届く。黄金の銃とは、殺し屋フランシスコ・スカラマンガの代名詞でもあり、その物騒な贈り物はジェームズ・ボンドへの殺害予告と思われた。折しもボンドは太陽エネルギー装置にまつわる任務に就いていたが、スカラマンガのために任務を外されてしまう。
任務に復帰するため、ボンドはまずスカラマンガの脅威を排除すべく、銃弾の製造主を訪ねてマカオへ向かった。

世評はいたって低い本作。十数年ぶりにあらためて見直してみても、確かにいろいろと問題点は多い。ロジャー・ムーアのスタイルがまだ確立されていない点は仕方ないにしても、社会性の希薄さ、スケールの小ささ、秘密兵器やアクションの物足りなさなどなど、これまでのシリーズ作を上回る部分はほとんどないといってよい。
ただ、実は個人的にはこの作品、嫌いではない。全体的なユルさや妙に劇画化されたキャラクターの存在感が、意外なほどいまの時代にあっているというか。
シリーズ中でも無類のドジッ娘ぶりを発揮するボンドガール、ブリット・エクランド。スカラマンガの忠実な部下でありながら遺産を虎視眈々と狙う小人のニック・ナックを演じるエルヴェ・ヴィルシェーズ。そして前作でも登場したアメリカのペッパー保安官役のクリフトン・ジェームズ。こんなにお笑い担当を揃えてどうするといった布陣である。下手をすると007のセルフパロディかと勘違いしそうな設定であり演出なのだが、全体的なトーンは統一されているから破綻もなく、ちゃんと楽しめてしまう(苦笑)。
もちろん御大クリストファー・リーを忘れてはいけない。存在感はさすがに圧倒的で本作一番の見どころだが、彼もまた世界をこの手になどと考えているわりに、ボンドと正々堂々戦うことにこだわって妙な墓穴を掘るという始末。
思えば007シリーズだと考えるからみな腹も立つわけで、上で書いたようにシリーズのパロディとして見ればこれはこれであり。コメディ要素だけではないが、この各種マイナスポイントをどこまで笑えるかがが分かれ目か。
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