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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

ルイス・ギルバート『007 私を愛したスパイ』

 007シリーズ第十作にあたる『007 私を愛したスパイ』をDVDで視聴。監督はルイス・ギルバート。

 核ミサイルを搭載した英国とソ連の潜水艦が同時に消息を絶った。調査を命じられた英国諜報部の007ことジェームズ・ボンドはエジプトへ向かうが、そこで出会ったのは同じく調査にあたっていたソ連KGBの女スパイ、アニヤ、そして強力なチタンの牙をもつ謎の大男であった。
 やがて事件の背後に浮かび上がる海運王ストロンバーグの姿。英国とソ連は協力してこの事件に対処することになるが、実はボンドとアニヤには隠された因縁があったのだ……。

 007私を愛したスパイ

 ロジャー・ムーア007の中では最も楽しめる作品に仕上がっている。もともとムーアのボンドはユーモラスでゴージャス、ダンディといったあたりがキーワードになっているのだが、それがこの作品と非常にマッチしている。
 というのも本作はシリーズの第十作記念作。制作側の気合いの入れ方が半端ではなく、これまでになくてんこ盛りの企画と制作費があてられているのだ。
 ジョーズという魅力的な悪役、秘密兵器の数々(特にロータス・エスプリのボンドカーはかっこいい)、添え物ではなくボンドとのコンビで活躍するボンドガール(しかもこれまでは敵方だったソ連スパイである)、タンカーを再現したスケールの大きさなどなど。何よりこれまでのシリーズ作や有名映画のパロディなどを取り入れ、飽きさせることがない。
 ムーア・ボンドの欠点であるアクションのキレの無さ、ストーリーや設定上の欠陥はいくつかあるにせよ、これだけサービスしてくれればさすがに文句は言えない。個人的にはショーン・コネリーが好みではあるが、あらためて観ると意外にロジャー・ムーアも頑張っていたんだな。

 ちなみに公開は1977年だが、この年、あの『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』といった映画も公開されており、管理人の映画熱が一気に高まった年でもある(笑)。この年あたりから一人でも映画館へ通うようになったんだよなぁ。そういえば『007 私を愛したスパイ』も初めて劇場で観た007であった。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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