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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


ジェームズ・オコノリー『恐竜グワンジ』

 家事に追われる一日。とはいえ、それだけで三連休が終わるのもあれなので、少しだけ「八王子古本まつり」に出かける。考えると古本市に出かけるのも久しぶりで、一時間ほどかけてゆっくりと棚を見て回る。ただ、本日で四日目なので大したものが残っているはずもなく、大谷羊太郎の『虹色の陥穽』のみ購入。


 夜はDVDで『恐竜グワンジ』を視聴。ごぞんじレイ・ハリーハウゼンが特撮を手掛けた1969年の作品。監督はジェームズ・オコノリー。

 こんな話。メキシコのロデオ・サーカス団へ不思議な動物が持ち込まれた。古生物学の教授はそれを中生代にいたウマの祖先であると断言するが、これで一儲けを企むサーカス団は聞く耳をもたない。やがて呪いを恐れるジプシーたちがそれを"禁断の谷"と呼ばれる渓谷へ返すため、奪い返してしまう。ジプシーの後を追うサーカス団と教授は、やがて"禁断の谷"へ足を踏み入れ、そこで驚愕の生物に遭遇する……。

 恐竜グワンジ

 ハリーハウゼン絡みの作品では比較的、地味な方だろうが、これがなかなかよくできている。コマ撮りによる恐竜の動き、俳優との合成の完成度もさることながら、意外にキャラクターがたっており、ドラマとして普通に面白いのがいい。ぶっちゃけキングコングとロストワールドを足して二で割ったような話ではあるし、安易な部分も多いのだけれど(笑)、それらを差し引いても十分楽しめる。
 主人公、ヒロイン、教授、ジプシー、サーカス団それぞれの思惑が、きちんと描き分けられているのがポイントだろう。前半はそれらの利害が複雑に絡み合い、きちんと物語の興味で引っ張っていく。これが後半になると見事に収斂され、クライマックスにきれいにつながる。いやお見事。
 小粒ながら見せ場も多く、個人的にはハリーハウゼン作品の上位に推したい一作である。

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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